妊活ドック始めました
こんにちは 幸町IVFクリニック 培養室の雀部です。
院長が、ブログのネタがない!とネタなしゾンビでウロウロするので、しばらく私が担当します。
といっても、そうそう目新しい話があるわけでもなく。
院内のよもやま話をご紹介する程度ですが・・・。
軽い読み物としてたまにお付き合い下さい。
12月に入って、当院では「妊活ドック」なるものを始めたのですよ。
何を今更?!と思われるかもしれませんが、今まで当院では検査だけ希望という方の診療を受けていなかったので、院内的にはちょっと新しい感じです。
内容は、不妊治療経験のある方から見るとワリと一般的ですが、治療経験がないと婦人科っていうだけで敷居が高いのかも・・・?
というわけで、ざっくり解説していきます。
詳しくは当院ホームページの「妊活ドック」https://www.saiwaicho.com/dock.html
でも紹介してるので、こちらも参考にして下さい。
女性用の検査としては、
女性基本セット 35,450円
・抗ミューラー管ホルモン(AMH)
・性周期関連のホルモン検査
・甲状腺刺激ホルモン
・抗精子抗体
・クラミジア・トラコマティス抗体
・糖尿病スクリーニング検査
・経腟超音波検査(2回)
たくさん書いてありますが、行うのは血液検査と経腟超音波検査です。
血液検査では、性周期の調節機能や卵巣機能、甲状腺機能などに関わる各種ホルモンや身体の中に精子を殺してしまうような抗体がないかどうか、卵管や骨盤内で癒着を発生させてしまうような感染症にかかったことがないかどうか、糖尿病の傾向がないかどうかを調べる項目を行います。
経腟超音波検査では、腟の中に超音波プローブを入れて、骨盤内臓器(ここでは主に子宮や卵巣とその周辺)を観察して子宮の奇形や筋腫、卵巣内の嚢腫の有無などなど子宮の周辺状況を診断します。
また、月経周期に合わせて検査を行うので、実際に正しく排卵が起きているかどうかも確認します(卵巣の状況によっては検査が参考値になることもあります。その場合には別の周期にドックを組み直すかどうか、採血前に相談になります)。
男性用の検査としては、
②男性基本セット 6,330円
・一般精液検査
女性の検査に比べるとかなり項目がさみしいですね・・・。
そう。不妊領域では男性の検査ってまず最初に精液検査。それ以外は必要に応じて追加になることが多いので、妊活ドックのようにスクリーニング目的の検査では項目がさみしくなってしまうのです。もちろん所見に問題があれば精査する項目はたくさんありますが、スクリーニングなら、とりあえずは精液検査だけでも大丈夫です。
ただし。誤解して欲しくないので声を大にして言いたいのですが!
女性の検査に比べて男性の検査項目が少ないので、やっぱり妊娠は女性がするもの、女性が頑張るものと思ってる男性って結構多いのではないですか?
実際、妊娠が成立するために必要なチェックポイントを無事通過するためには、女性側の因子によって大きく影響を受けるのも事実です。でも、健常な赤ちゃんが生まれるために必要な要件となると、男性の寄与率は50%。つまり精子が健常でないとせっかく着床しても流産してしまう原因となることだってあります。
赤ちゃん欲しいから、奥さんに協力します。じゃなく、赤ちゃんが欲しいので自分の健康も見直そうってご主人が思ってくれるきっかけになると嬉しいですね。
③追加オプション ※希望の場合は申し出てください。
・子宮頸部細胞診(液状検体) 6,300円 ※結果は郵送になります。
・風疹抗体検査 2,900円
・感染症セット(梅毒・B/C型肝炎・HIV) 6,020円
・卵管通水検査 7,570円 ※基本セットと同じ周期にはできません。
前述の女性の検査・男性の検査に加えて、ご本人の希望によって行う検査です。
子宮の頚がんの検診、風疹抗体の検査は自治体によってタイミングが良ければ無料でできることもあるので、オプションになってます。
また、感染症は血液や体液の接触によって感染が成立する項目の検査です。感染している場合、生まれてくる赤ちゃんやご家族への対応が必要なので、妊娠を目指すご夫婦にはやっておいて頂きたい項目です。
卵管通水検査は、腟側から生食を注入して卵管につまりがないかどうかを調べます。卵管に通過性がないと自然妊娠は難しく、体外受精または卵管の通過性を回復する処置が必要になります。妊娠へのアプローチを考える上で一気に方針が変更になるので、早めに検査することも必要です。ただし・・・。ネット等で見かけるかもしれませんが、ちょっと痛い検査です(大丈夫な人もいますが・・・)というわけで、全員が行うセットに組み込むのはちょっとねぇ・・・。というわけで、オプションにしてみました。事前にクラミジアの検査の結果が出てないと検査できないので、通水検査ご希望の場合は妊活ドックとは別の周期で改めて予定を組むことになります。
と、こんな感じで妊活ドックを始めてみました。
長くなってきたので、今回は項目の説明まで。
次回は妊活ドックの注意事項について書きますね。
ではでは。