妊活ドックの注意事項
こんにちは 幸町IVFクリニック 培養室の雀部です。
皆さんは年越し準備、終わりましたか?
クリスマスが過ぎると、あっという間にクローズモードで、慌ただしさが2倍になるような気がします。
今年も1年、早かったですねー。ついこの前まで半袖だった気がするんですが・・・。
はぁ・・・。文句ばっかり言ってても仕方ないので、楽しい年越し企画でも考えるほうが建設的ですね。
ちなみに私はひたすら「何食べよっかな~♪」ばっかりですが・・・。
さて。前回は最近当院で始めた「妊活ドック」のご紹介をしましたが、今回はこの注意点について書いていきます。
検査の注意点?
え?痛いとか?
いえいえ。そんなのではなく。検査自体の意味合いについて説明します。
皆さんは、病院の検査って聞くとどう感じますか?
例えば貧血の検査。
だるいしクラクラするので、病院に行って血液検査してみたら、あ、鉄分足りてないので貧血ですねー、とか。血液検査は問題ないので貧血ではないですね、とか。
例えば胃が痛いので、胃カメラの検査。
カメラで胃の中を診て、胃がんがありますね、とか。がんはないけど胃の粘膜が荒れてるので胃の炎症ですね、とか。
などなど、検査をしたら、必ず答えが出るという印象ありませんか?
確かに、何かを調べる目的で検査するのですから、答えが出て当然なんですが、妊活の検査に関して言うとそこが確定的ではない。というのが今回のポイントです。
具体的には、妊活検査の項目ですべて「問題なし」という結果が出た人が、
「じゃあ、妊娠したくなったらすぐに妊娠できるってことですね!?」
って聞いても、医師からは
「いや、それはその時になってみないと判らないです。」って答えが返ってきます。
はぁあぁぁ?!それじゃ検査なんてやる意味あるの?って思いませんか?
私なら思いますね、きっと。
どういうことかというと、妊活の検査っていうのは、「妊娠できる身体かどうか」を調べているのではなく、「妊娠が成立するために必要なチェックポイントが機能しているかどうか」を調べている検査です。つまり、チェックポイントはそれぞれ正しく機能していても、それらが必要なときに正しいタイミングで機能を発揮しないと妊娠は成立しません。正しいタイミングで機能を発揮するかどうかを確認するとしたら、実際に妊娠を目指してみるしか確認する方法はありません。なので前述のようなやりとりになっちゃうんですね。
では、わざわざ検査する意味はどこに?ってことになりますが、実際に妊娠可能かどうか?は判らなくても、最低限、これだけは正しく機能していないと自然妊娠が難しいという項目を調べておきましょうというのが妊活ドックの目的です。
もし、これらの検査項目で問題が発覚した場合は、赤ちゃんがほしいと思った際にはできるだけ早く不妊専門医へ相談した方がよいということになります。それが、今すぐなのか、まだもうちょっと先でもよいのかは検査結果や年齢などを総合的に判断した医師のアドバイスを基にご夫婦の家族計画を検討して頂くのがよいと思います。
では「問題なし」の方は?
前述のように、「すぐに妊娠できる身体です!」という意味の結果ではないらしい・・・と認識しておく必要があります。妊娠にとって必要な機能は、最低限正しく働いているらしい。でも実際には妊娠を目指してみないとわからないのだから、「私は大丈夫!!」って過信しないことが大切です。いざ妊娠を目指してみて上手くいかなければ、やはり医療サポートが必要になる可能性もあるかも。くらいに頭の片隅に残しておいて家族計画を検討して下さい。
妊活ドックの危ういところは、この「問題なし」という結果の解釈です。
以前に「問題なし」という結果が出ていると、数年経ってから妊娠を望んだ際に、この結果が拠り所になってしまって、医療サポートを受けようっていう考えが最初に出てこずに時間もお金も回り道してしまうこともあります。
実際、当院で治療している方達の不妊原因をみると、約半分以上の方が「問題なし」の不妊症、いわゆる原因不明です。現時点でできる検査だけでは、妊娠に必要な要素をすべて網羅することはできないことを如実に表す割合だと思います。
私見ですが、せっかく妊娠に対して「意識高い系」(←揶揄してるんじゃないですよ)で、しっかり準備する目的で妊活ドックを受けたのに、それが実際の家族計画を間違った方向に結びつけてしまう可能性がある、ということがとても心配です。検査の結果を正しく解釈して、ぜひご夫婦の未来の計画へ活用していただけると嬉しいです。
妊活ドックについて気になることがあれば、ぜひお問い合わせ下さい。
ではでは
年末になって、急に寒さが増して来ましたね。折角のお休みですから体調不良に気をつけて。
暖かくして、楽しい新年を迎えて下さいね。
今年はこれで年納めです。(外来は12月28日までやってますよ)
来年は1月5日から通常診療です。
来年もどうぞよろしくお願いします。