コレステロールと中性脂肪にご注意!
幸町IVFクリニック院長 雀部です。
今回は、コレステロールと受精卵の質の関係についてです。
当院では 、体外受精前に脂質代謝の検査(LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪)があります。異常値が出た場合は、食事や運動について指導したり、サプリを投与したりすることになります。しかし、コレステロールや中性脂肪はどうしても健康診断の項目というイメージがあるためか、「体外受精と何の関係があるの?」と怪訝な顔をされる方がいらっしゃいます。
そこで、血中脂質レベルと胚の質の関係を検証した研究を紹介します。今年の3月に発表された論文です。
対象:体外受精を実施した488人(妊娠286人、非妊娠202人)
方法:中性脂肪、総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール、リポ蛋白(a)、リポ蛋白(b)と卵子や胚の状態との相関を統計的に検証する
結果:中性脂肪、総コレステロール、LDLコレステロールは、正常受精卵数と負の相関がある。
中性脂肪、総コレステロール、リポ蛋白(b)は、良好胚数と負の相関がある。
中性脂肪は、卵子数、分割胚数と負の相関がある。
HDLコレステロール、リポ蛋白(a)は、卵子数、正常受精卵数、分割卵数と正の相関がある。
結論:中性脂肪、総コレステロール、LDLコレステロール、リポ蛋白(b)は、胚の質と負の相関がある。
HDLコレステロール、リポ蛋白(a)は、胚の質と正の相関がある。
コレステロールや中性脂肪は、単なる健康診断の項目ではなく、体外受精の結果に大きく関係していることがわかっていただけたでしょうか?今からでも遅くありません。脂質のデータを意識して、食事と運動に気をつけるようにしてください。