幸町IVFクリニック

院長

胚移植後の安静は時代遅れ

2020.07.30

幸町IVFクリニック院長 雀部です。

今回は、体外受精前・中・後の身体活動と安静の話です。

皆さん、「胚移植後または妊娠判定陽性後は安静!」と固定観念に囚われていませんか?通っているクリニックから胚移植後の安静を厳しく指導されている方、いらっしゃいませんか?

実はこれ20年前の体外受精の考え方なのです。近年、胚移植後に安静をとっても意味が無いことが多くの研究で示され、この領域の医療関係者の間ではすでに一般的な考え方として普及しています。

今回紹介するの論文も、そのような研究のひとつです。

Soritsa, D., et al. (2020). “Maternal physical activity and sedentary behaviour before and during in vitro fertilization treatment: a longitudinal study exploring the associations with controlled ovarian stimulation and pregnancy outcomes.” J Assist Reprod Genet.

目的:体外受精前・中・後の身体活動、安静が妊娠結果と関連しているかどうかを検証すること

対象:体外受精の治療を受けている107人の女性

研究デザイン:横断研究

方法:卵巣刺激を始める前、胚移植後、妊娠判定陽性後の3つの時期における身体活動、安静と治療結果の関連を検討した。卵巣刺激の結果は、卵子数、胚数で評価した。体外受精の結果は、妊娠反応陽性、臨床的妊娠、生産で評価した。

結論:体外受精治療前に、活発に動き、安静時間が短い女性の方が、卵巣刺激の結果が良かった。体外受精前後の身体活動レベルは、着床、妊娠、生産の結果に影響を及ぼさなかった。

(詳細は原文を参照してください)

この論文中のおもしろいデータを、ひとつだけ紹介しておきます。スクリーンタイム(スマホやテレビなど画面を見ている時間)が長い女性は、卵巣刺激にて得られる卵子数が4.7個少なく、胚数が2.8個少なかったそうです。ネット中毒の方、テレビ好きの方、要注意です。

治療の前後は、どんどん動きましょう(医師より安静を指示されている方を除く)。胚移植後、妊娠判定陽性後の安静は意味ありません(医師より安静を指示されている方を除く)。活動レベルの高い女性ほど妊娠しやすいようです。

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