卵子の最終成熟;デュアルトリガー
2020.08.13
幸町IVFクリニック院長 雀部です。
今回は、卵子の最終成熟を目的として、採卵2日目の夜10時に行う投薬の話です。
卵子の最終成熟は、自然周期ではLHというホルモンのサージ(急上昇)がトリガー(引き金)となります。体外受精周期では、採卵時間の35時間前にHCGまたはGnRHaという薬剤を投与すると、35時間の間に最終成熟がかかり、成熟卵が取れます。
HCGとGnRHaは作用の仕方が違います。HCGにはLH様作用があり、LHサージの代用になります。GnRHaは、下垂体に作用してLHサージを誘起します。
元々体外受精は、HCGをトリガーとして用いてきました。近年、HCGとGnRHaを同時に使うデュアルトリガーというやり方が普及しています。今回紹介する論文は、HCGとGnRHaを同時に使うデュアルトリガーが、HCGトリガーと比較して、本当に有用かどうかを検証した研究です。
対象:卵巣が正常反応する女性155人を、ランダムにHCG単独トリガーとデュアルトリガーに振り分けた
研究デザイン:二重盲検ランダム化比較試験
結論:デュアルトリガーは、HCG単独トリガーと比較して、採卵数、成熟卵数、胞胚数(全体および良好)が増加した。
(詳細は、原文を参照してください)
二重盲検ランダム化比較試験なので、結論のエビデンスレベルは高いと思います。当院でも、10年ほど前よりデュアルトリガーを採用しており、安定した成績が出ています。