幸町IVFクリニック

院長

ご主人の年齢と児の先天性心疾患

2020.09.03

幸町IVFクリニック院長 雀部です。

今回は、前回に引き続き男性の年齢の話です。

前回、男性の高年齢と胚の染色体異常率は関係がないという話をしました。今回は、男性の高年齢と児の先天性心疾患の関係について検証した研究を紹介します。今年の7月に発表されたばかりの論文です。

Joinau-Zoulovits, F., et al. (2020). “Association between advanced paternal age and congenital heart defects: a systematic review and meta-analysis.” Hum Reprod.

目的:男性の高年齢(35歳以上)と児の先天性心疾患発症との間に関係があるかどうかを検証すること

研究デザイン:メタ解析

対象:9つの研究で対象とされた先天性心疾患がある児34,447人、コントロールとして先天性心疾患のない児9,882,564人

結論:男性の高年齢は、児の先天性心疾患のオッズを16%上昇させる

(詳細は、原文を参照してください)

発症頻度の低いまれな疾患以外は、一般にオッズ比は大きめの数字がでます。よって、実際のリスク上昇は16%より割り引いて考える必要があります。そうだとしても、男性の年齢が35歳以上というのは、かなりの割合のご夫婦が該当すると思いますので、実感のわきにくいデータです。

いずれにせよ、男性の年齢と児の先天性心疾患のリスクは、関係がありそうです。胚の染色体異常に関しては、男性の年齢は関係ないとのことですが、児の先天性心疾患リスクに関しては、男性も若い方が有利なようです。

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