幸町IVFクリニック

院長

他力本願

2018.01.18

幸町

​​

IVFクリニック院長雀部です。


食事や栄養素の話が続いたところで、妊娠しやすい身体

​づくり​

の重要性について話をしておきます。


​まず、​

問題を1つ。


奥様の年齢

​など背景​

条件

​がほとんど​

同じご夫婦

​に対して​

​同じやり方で​

体外受精をやったとします。その結果、

すぐ妊娠するご夫婦と

​、​繰り返し体外受精をやらないと

妊娠しないご夫婦がいます。その差は何

​だと思いますか​

? 


運でしょうか? 

私は、体質の差

​だ

と思

​っています​


ではその体質

​の差​

とは何でしょう? 


 一般に、西洋医学では、検査で異常値または異常所見を示した時、多くの場合

​で​

それは疾患を意味し、治療の対象になってきます。逆に、正常範囲に入っている

​時​

は治療の対象となりません。ところが、正常範囲には幅があり、治療の対象とならない正常範囲の方でも、いろんな状態の方がいらっしゃいます。ある検査項目に注目してみても、全く正常の方と異常に近い正常の方がいらっしゃ

​います​

。このような、疾患として扱われない範囲内での身体の状態の差が、体質の差となってきます。


身体の状態が不健康な方向に向かうと、まず影響を受けるのが生殖です。

生物は、個体が健康だと身体のメンテナンスに費やすエネルギーが最小限で済み、生殖の方にエネルギーを振り向けることができます。ところが、個体の健康状態が悪化すると、生殖に振り向けるべきエネルギーが削られて、身体のメンテナンスの方に振り向けられてしまいます。なぜなら、生物にとって、個体の維持の方が、生殖より優先順位が高いからです。よって、少しでも身体が不健康な方向へ傾くと、真っ先に生殖の力が落ちることになるわけです。


このように生殖の力が落ちている状態で体外受精をやると、採卵しても卵子が回収できなかったり、卵子が回収できても変性卵だったり、異常受精したり、胚発育が不調だったり、胚移植しても着床しなかったりなど、

いろいろな段階で引っかかることになります。​


「そこを、技術の力でなんとかできないんですか?」と、
よく患者さんから聞かれます。


そもそも体外受精と言うのは、生殖補助医療と言われる通り、妊娠を補助

​する技術​

です。

​妊娠のいろいろな過程をショートカットすることはできますが、配偶子(

精子または卵子

​)

自体に妊娠する力が

​ない

​、​

体外受精の技術でなんとかするのは

​難しくなってきます​



ところで、診察室ではいろんなタイプの患者さんに会います。よく見かけるパターンを見てみましょう。


1 今まで一般不妊治療をやってる間は

​生活習慣の​

改善などに取り組んでいたのに、体外受精をやることが決まった途端投げ出してしまう方

「高いお金を払って体外受精をやることになったのだから、もう自分で努力をする必要はない。体外受精の技術が何とかしてくれるだろう

​。​

」と心のどこかで思っている

​方です​


​医師や看護師に

言われていろいろ始めてみるのだけども、すぐに投げ出してしまう

​身体​づくり

の重要性を、頭でわかっていても

実感​

できていないので、

​ちょっとしたことで​

すぐ投げ出してしまう方です。


3 そもそも妊娠しやすい

​身体づくり​

が重要であるという発想が全くない

​、

またはそういうものを馬鹿にしている方


ひょっとして、当てはまっている方いませんか? 共通しているのは、自分の力で妊娠するんだという意識が薄く、他力本願状態になっていることです。

体外受精の技術を用いたとしても、技術の力で妊娠させてもらうのではなく、技術の助けを借りてあなた自身の力で妊娠するしかありません。もし仮に
、身体の状態があまり良くない状態で、なんとか

体外受精の技術力で

​のりきっ​

たとしても、

妊娠した後に

妊娠性高血圧症

​、妊娠性糖尿病​

などの母体合併症

​が待っている可能性もあります

​​体外受精をやることになったとしても、妊娠するのは自分であるということを意識して、身体づくりに取り組んでください。

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