幸町IVFクリニック

院長

ERA検査 (子宮内膜着床能検査)

2018.01.25

幸町IVFクリニック 院長 雀部です。


今回は、ERA検査(endometrial receptivity analysis)という子宮内膜着床能検査の話です。

「ERA検査って何?」という方のために、内容を説明しておきます。

「着床ウ

​ィ​

ンドウ」ってご存知ですか? 子

​​

宮内膜に、ある一定の時期だけ着床のための窓が開き、タイミングよく受精卵が来るとスムーズに着床するという概念です。逆に、窓が閉じているときに、受精卵が来ても着床することができません。もちろん概念的なものなので、実際に子宮内膜に窓が開くわけではありません。


子宮内膜の日齢を診る検査として、「子宮内膜日付診」という検査があります。黄体中期(基礎体温の高温相の真ん中あたり)に、子宮内膜の組織を採取して顕微鏡で細胞などの形態を診て、子宮内膜の日齢を推定するという検査です。しかし、胚移植のタイミングのズレを判断する検査としては精度が低く、あまり役に立ちませんでした。着床ウ

​ィ​

ンドウと

​いう​

のは

​、​

細胞などの形態を

​診て​

​捉えるの​

​​

難しいようです。


ERA検査とは? 
新しいERA検査は、子宮内膜の組織を採取するところまでは同じなのですが、細胞などの形態を顕微鏡で見るのではなく、細胞の遺伝子が働いているかどうかを診ます。細胞はたくさんの遺伝子を持っていますが、すべての遺伝子が働いているわけではありません。細胞の種類や状態によって、働いている遺伝子と休んでいる遺伝子が違います。この検査では、子宮内膜の細胞が持っている遺伝子のうち、着床の時期に働いていると考えられる遺伝子236個について調べ、子宮内膜が受け入れ状態(受容期)になっているかどうかを診断します。

​検査の​

方法

まず、凍結融解胚移植を行うときと同じ方法で子宮内膜を作ります。子宮内膜を作る方法には、排卵周期とホルモン補充周期というやり方があり、どちらでも実施できます。ただし、ホルモン補充周期の方が子宮内膜の日齢の調節性に優れているため、こちらを用いることが多いと思います。まず、エストロゲンを投与して子宮内膜を十分に厚くします。次にエストロゲンとプロゲステロンを投与します。プロゲステロンの投与開始日を日齢0として、5日目に子宮内膜の組織採取を行います。採取した組織は専用の容器に入れて検査に提出します。

プロゲステロン投与開始

​から​

何時間後に組織を採取したかを計算して

​、​

そのデータもいっしょに

提出します。


結果の読み方
結果が出るのに2〜3週間かかります。「受容期です」と戻ってきた場合には

​、​

胚移植のタイミングは合っていますので特にやり方を変える必要はありません。 受容期

​から

はずれてる場合は、前にずれているのか後にずれているのか、受容期よりも前なので6時間遅く胚移植を行ってください」など具体的に指示が

​戻って​

きます。その指示通りに時間また日をずらして、次の胚移植を行います。このように時間単位で調節をすることになった場合、ホルモン補充周期だと簡単かつ正確に調節が可能です。また、2日以上ずれた場合は、2日ずらしたした状態で再検査が必要になってきます。


高額な検査なので、全員に行うわけにはいきませんが、良好胚を2回以上移植して着床しない方は検査してみたほうがいいと思います。検査会社のデータによると、検査された方のうち

​28.6%​

の方

​が受容期をはずれていた​

そうです。ご希望の方は、担当医またはスタッフにお声掛けください。

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