幸町IVFクリニック

院長

DHEAサプリは着床にも効く?

2018.03.08

幸町IVFクリニック 院長 雀部です。


今回はDHEAサプリの話題です。

DHEAとは?

DHEAは、​

Dehydroepiandrosterone(デヒドロエピアンドロステロン)

​の略称で、テストステロンやエストロゲンなどの前駆体です。DHEA自体は、弱い男性ホルモンの働きをします。このDHEAは、サプリで簡単に摂取できます。卵巣予備能低下女性に投与することにより、生産率の改善が期待でき、​ 

Cochrane Database Syst Revでは、中等度のエビデンスとされています。当院でも大活躍のサプリです。

DHEAは着床にも効く? 

通常、DHEAサプリというと卵子や受精卵に対する効果が話の中心ですが、今回は、子宮内膜への効果の話です。

Li, S. Y., et al. (2016). “Impaired 

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receptivity and decidualization in DHEA-induced PCOS mice.” Sci Rep 6: 38134.

​​「

マウス

​にDHEAを投与して多囊胞性卵巣症候群(PCOS)状態を誘起した結果、子宮内膜の胚受容能と脱落膜化に有害な影響が認められた。」という内容です。

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この論文を根拠に、「胚移植後は、DHEA を投与しない方がいい」という意見が

​ネットで流れているそうです。それを見て不安に感じている患者さんがいらっしゃいましたので、解説しておきます。


​結論から言いますと、この論文の内容を直ちにヒトに当てはめるのは少々無理があります。

まず、マウスへのDHEA投与量が、体重100g当たり6mgという非常に高用量だということです。ヒトに当てはめると、毎日サプリ1本分(当院のDHEAサプリは1本に90カプセル入っています)を服用している状態に相当します。次に、実験動物のマウスは、背景条件を揃えるため個体差が生じないように作られており、卵巣機能に関しては均一に良好な状態です。ヒトに当てはめると、20代の卵巣機能良好な女性のみを選んで実験を行っているようなものです。

つまり、この論文の内容をヒトに置き換えると、​ 「20代の卵巣機能良好な女性のみを集めて、DHEAサプリを毎日まるまる1本分服用してもらった結果、多囊胞性卵巣症候群を誘起することができました。そして、子宮内膜を調べた結果、有害な影響がありました。」という内容なのです。


​DHEAサプリは、卵巣予備能低下女性を対象として、通常1日2~3カプセルを投与します。よって、DHEAサプリを通常量服用した程度で、子宮内膜に有害な影響がでるレベルの多囊胞性卵巣症候群状態が誘起されるとは考えにくいと思います。

​そして、こんな論文も出ています。

Gibson, D. A., et al. (2018). “Dehydroepiandrosterone enhances decidualization in women of advanced reproductive age.” Fertil Steril.

生殖年齢としては比較的高い女性​(平均年齢44.7±2.3歳)より採取した子宮内膜を体外で培養しています。DHEAを添加した群と添加しなかった群を比較した結果、DHEAによって子宮内膜の脱落膜化が増強されたという内容です。結論として、DHEAサプリを胚の受容期に投与することにより、子宮内膜の機能を増強し、妊娠率を改善する可能性があると述べています。

この論文も、体外培養系の実験なので直ちにヒトの臨床に当てはめるわけにはいきません。しかし、注目すべき内容だと思います。

このようにDHEAサプリの子宮内膜に対する影響は、まだ結論が出ていません。最終的には、ランダム化比較試験の論文を待つ必要があります。現時点では、通常の用量であれば、胚移植後も服用して大丈夫だと思います。

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