幸町IVFクリニック

院長

低反応卵巣症例の生児獲得率

2018.07.12

幸町IVFクリニック 院長 雀部です。

今回も低反応卵巣の話です。低反応卵巣の定義については、前回の記事を参照してください。

この低反応卵巣の定義に当てはまる方が最も気になるのが、妊娠の見込み、治療の見通しだと思います。少しシビアな内容の論文ですが、紹介しておきます。6月に発表されたばかりの論文です。

Xu, B., et al. (2018). “Cumulative live birth rates in more than 3,000 patients with poor ovarian response: a 15-year survey of final in vitro fertilization outcome.” Fertil Steril 109(6): 1051-1059.

Bolognaクライテリアで低反応卵巣と診断された3391人の女性が対象で、観察期間は2002年から2016年までです。この観察期間における体外受精、顕微授精、凍結融解胚移植の成績を解析し、累積生児獲得率を推定することを目的とした研究です。

1回の採卵で、胚移植(新鮮胚移植、凍結融解胚移植を含む)を複数回施行していても1周期の治療とカウントします。

体外受精を6周期行った後の累積生児獲得率は、控えめな推定で14.9%、楽観的な推定で35.3%でした。

体外受精を6周期行った後の累積生児獲得率の控えめな推定は、年齢上昇とともに低下し、最初の周期開始時30歳以下22%、31-43歳18.3%、35-37歳17.2%、38-40歳13.5%、41-43歳10.5%、44歳以上4.4%でした。

卵巣刺激法ごとの検討では、自然周期は、諸条件を補正した後でも、他の卵巣刺激法と比較して最も低い累積生児獲得率でした。

どうでしょうか?採卵を6回やった後の累積生児獲得率なので、なかなかシビアな数字だと思います。

Bolognaクライテリアに当てはまる女性は、とにかく早く治療を開始し、早めのステップアップを心掛けてください。体外受精をやることになったら、ある程度の採卵回数は、覚悟しておいた方がいいかもしれません。

卵巣刺激法に関しては、自然周期は、あまりお勧めできません。ある程度薬剤を使用し、卵胞発育を援護した方が成績がいいようです。

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