卵巣に内膜症がある方は早めの妊活を!
幸町IVFクリニック院長 雀部です。
今回は、卵巣内膜症性囊胞と卵巣予備能の関係についてです。
早速、7月に発表されたばかりの論文を紹介します。卵巣に内膜症性囊胞があると指摘されている女性とっては、かなり衝撃的な内容です。
Kasapoglu, I., et al. (2018). “Endometrioma-related reduction in ovarian reserve (ERROR): a prospective longitudinal study.” Fertil Steril 110(1): 122-127.
卵巣に内膜症性囊胞がある女性40人とない女性40人(コントロール)のAMH(抗ミューラー管ホルモン)の変化を比較した前向き観察研究です。
内膜症性囊胞がある女性の平均年齢は32.7歳、ない女性32.1歳でした。
内膜症性囊胞がある女性40人のうち、31人は片側の卵巣、9人は両側の卵巣に内膜症性囊胞があり、平均径4.6cmでした。
研究へのエントリー時点のAMHの中央値(25-75パーセンタイル)は、内膜症性囊胞がある女性2.83(0.70-4.96)、ない女性4.42(2.26-5.57)でした。
エントリーから6ヶ月後のAMHの中央値(25-75パーセンタイル)は、内膜症性囊胞がある女性1.86(0.57-3.77)、ない女性3.2(2.45-5.59)でした。なんとAMHの低下率は、内膜症性囊胞がある女性26.4%、ない女性7.4%(有意差あり)でした。
内膜症性囊胞が両側にある女性(9人)と片側の女性(31人)を分けると、AMHの低下率は、両側34.62%、片側22.35%でした。
わずか半年で、ここまで大幅に低下するとは衝撃的な数字ですね!
卵巣に内膜症性囊胞があるだけで、妊娠に関しては不利になってきます。卵巣内膜症性囊胞を指摘されている方は、早めのステップアップ、早めの体外受精をお勧めします。