幸町IVFクリニック

院長

体外受精児の学業成績

2018.09.06

幸町IVFクリニック院長 雀部です。

体外受精児と自然妊娠児の学業成績を比較した論文を紹介します。8月に発表されたばかりの論文です。

Norrman, E., et al. (2018). “School performance in singletons born after assisted reproductive technology.” Hum Reprod. 

1985年~2001年、スウェーデンにて、体外受精の結果生まれた8,323人、自然妊娠によって生まれた1,499,667人の学業成績を比較した後ろ向き研究です。

主要評価項目は、小学校9年生の16科目の点数の合計(320点満点)です。副次評価項目は、数学、スウェーデン語、英語、体育の成績、中学校への入学資格、小学校9年生の16科目の点数の合計が160点未満の成績不良者割合です。

小学校9年生の16科目の点数の合計(320点満点)の平均は、体外受精児230.2点、自然妊娠児209.7点と体外受精児の方が有意に優秀でした。しかし、対象者の背景情報(子供の性別・生まれた年、母親の年齢・出産歴・喫煙、父親の年齢、両親が生まれた地域・教育・社会経済的階層)を補正して比較すると自然妊娠児の方が、わずかですが有意に優れていました。

副次評価項目に関しては、自然妊娠女児のスウェーデン語の成績が、わずかですが有意に優れていました。男児の数学、スウェーデン語、英語、体育の科目ごとの成績、女児のスウェーデン語以外の科目ごとの成績に有意差はありませんでした。男児と女児を合わせて解析すると、科目ごとの成績に有意差はありませんでした。中学校への入学資格、成績不良者割合も有意差ありませんでした。

結論として、体外受精児の学業成績に関しては、概ね問題なしとのことでした。

体外受精児の周産期リスクについては、いろいろな論文が出ていますが、学業成績を比較した論文は非常にめずらしいですね~。素データでは、体外受精児の方が優秀というのがおもしろいです。何が影響しているのでしょう?興味のあるところです。

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