幸町IVFクリニック

院長

よく寝て妊娠力up!

2019.04.18

幸町IVFクリニック院長 雀部です。

今日は、睡眠と妊娠力の関係についてです。

当院では、時間が許す範囲内で、生活習慣改善のアドバイスを積極的に行っています。生活習慣改善というとまず思いつくのが食事と運動だと思いますが、睡眠も忘れてはいけません。でも、睡眠と言われても、何がどのように影響するのかピンとこない方が多いと思います。

そこで、睡眠と受胎能力(妊娠力)の関係を研究した論文を紹介します。今年の4月発表の最新の論文です。

Willis, S. K., et al. (2019). “Female sleep patterns, shift work, and fecundability in a North American preconception cohort study.” Fertil Steril.

21-45歳の妊娠を試みている北米女性が対象です。症例の登録期間は2013年6月から2018年9月まで、妊娠を試みて6ヶ月以内(登録時点)の女性6,873人について解析が行われました。

睡眠の状態については、前月の平均睡眠時間、最近2週間の睡眠トラブルの頻度、仕事のシフトパターンを自己申告してもらいました。妊娠については、最長12ヶ月または妊娠するまで、8週間ごとに追跡調査を行いました。妊娠するまでに要した期間などから、推定受胎能力比率(FRs)を算出しました。

その結果、1日の睡眠時間8時間の女性と比較して、推定受胎能力比率(FRs)は、睡眠時間6時間未満0.89(睡眠時間8時間の女性と比較して、11%受胎能力が低いことを意味する)、6時間0.95、7時間0.99、9時間以上0.96でした(すべて有意差無し)。

睡眠トラブルが無い女性と比較して、推定受胎能力比率(FRs)は、睡眠トラブル頻度が50%以下の女性0.93、50%以上0.87(有意差有り)でした。

仕事のシフトパターンと推定受胎能力比率(FRs)には関連性がありませんでした。

結論は、
①睡眠トラブルは受胎能力を中等度に減少させる。
②短時間睡眠と受胎能力減少は、弱い関連性がある。
でした。

若い内は多少寝なくても何とかなりますが、年を重ねるとそうはいかなくなります。「昔の自分とは違う身体なんだ」という当たり前なことをまず認識するところから治療が始まります。妊娠を目指す方は、まずよく寝ることを心掛けましょう。

不眠などの睡眠トラブルは、妊娠力を下げます。トラブルの内容によっては、自分の力だけでは解決できないものもありますので、睡眠の専門医を頼るのもひとつの手かもしれません。

  

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