幸町IVFクリニック

院長

体外受精児;22-35歳の健康状態

2019.04.25

幸町IVFクリニック院長 雀部です。

今回は、体外受精児の長期予後の話です。

1978年、世界初の体外受精成功例から約40年経ちました。以前は、体外受精児の予後というと、出生前後の短期的な予後に関する論文が主体でしたが、最近はその先の予後に関する論文が少しずつ発表されるようになってきました。

今回紹介する論文もそのひとつで、成人した体外受精児(22-35歳)の健康状態について検討した研究です。

Halliday, J., et al. (2019). “Health of adults aged 22 to 35 years conceived by assisted reproductive technology.” Fertil Steril.

193人の体外受精児(平均年齢27.0歳)、86人の体外受精を行わずに生まれた児(平均年齢26.9歳)が対象です。

主要評価項目は、脈管構造(頸動脈内膜中膜複合体厚、脈派伝播速度)、脈管機能(血圧)、代謝マーカー(空腹時血糖、インシュリン、通常の脂質検査)、身体計測、呼吸機能(スパイロメトリー)です。

その結果、体外受精以外の児と比較して、体外受精児の拡張期血圧は低いことがわかりましたが、それ以外の項目については、有意差ありませんでした。

また、体外受精児は、喘息の有病率が高いことがわかりましたが、呼吸機能は同等でした。

結論は、
「体外受精児のおいて、脈管や循環代謝病のリスク、成長や呼吸に関する問題が増えるという証拠は見あたらなかった。」
でした。

まだまだ、体外受精児の長期予後に関しては、不明な点が多いのが現状ですが、この研究の結論をみる限りでは、安心できそうです。皆さんも安心して治療に専念してください。

今後も、この様な長期予後に関する論文が続々と発表されると思いますので、注目していきたいと思います。

ご相談・初診のご予約はお気軽にContact