幸町IVFクリニック

院長

体外受精は男の子ができやすい?

2019.05.30

幸町IVFクリニック院長 雀部です。

今日は、体外受精と男女比の話です。

体外受精をはじめとする生殖補助医療において、受精卵診断を行わずに胚移植を行った場合、理論的には男女比は1:1になるはずです。ところが、実際にはわずかですが男の子が多く生まれているということをご存知ですか?

生殖補助医療(ART)が、性比に及ぼす影響を検討した研究を紹介します。今月発表されたばかりの最新の論文です。

Narvaez, J. L., et al. (2019). “Trends and correlates of the sex distribution among U.S. assisted reproductive technology births.” Fertil Steril.

アメリカにて、2010-2014年にARTによって生まれた214,274人の子供が対象です。受精卵診断を実施した10,266人のうち53.5%が男児、受精卵診断を実施しなかった204,008人のうち50.6%が男児でした。

受精卵診断を実施しなかったART周期について、さらに詳しく検討しました。その結果、胚盤胞移植は男児が生まれやすく (修正リスク比 1.03; 95%信頼区間, 1.02-1.04)、顕微授精は男児が生まれにくい(修正リスク比  0.94; 95%信頼区間, 0.93-0.95) 、単一胚移植後の単胎児においても顕微授精は男児が生まれにくい(修正リスク比 0.93; 95%信頼区間, 0.90-0.95)ことがわかりました。

1個胚移植と比較して、2個胚移植は男児が生まれにくく(修正リスク比 0.98; 95%信頼区間, 0.97-0.99) 、3個以上の胚移植も男児が生まれにくい(修正リスク比 0.98; 95%信頼区間, 0.96-0.99)ことがわかりました。

アメリカでは、2006-2014年の間、ARTにて生まれた児のうち男児の割合は50.5%~51.2%で推移したそうです。男女比には、胚盤胞移植、顕微授精、胚移植の際の胚ステージや胚数が関係している可能性が考えられると結論しています。

理由はわかっていませんが、体外受精は、わずかに男の子の方が生まれやすいみたいです。そして、胚盤胞移植を行うと男の子が生まれやすく、顕微授精を行うと女の子が生まれやすいようです。もちろん男女産み分けに使えるレベルの話ではないので、あえて胚盤胞移植や顕微授精を行う意味はありませんので、誤解が無いようにお願いします。

 

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