幸町IVFクリニック

院長

体重に注意!=卵の発育に影響

2019.06.13

幸町IVFクリニック院長 雀部です。

今日は、奥様の体重の話です。

体重を適性に維持するためには、生活習慣の改善が欠かせません。しかし、わかってはいてもなかなか改善できないのが生活習慣です。そこで、具体的なデータで過体重(または低体重)の弊害を実感して、モチベーションをアップしましょう。今年の5月に発表されたばかりの論文を紹介します。

Bartolacci, A., et al. (2019). “Maternal body mass index affects embryo morphokinetics: a time-lapse study.” J Assist Reprod Genet.

母体のBMIが胚の形態的動態(時間の経過に伴って変化する胚の形態)に及ぼす影響を、タイムラプスイメージングを用いてしらべた研究です。

後ろ向き研究です。

患者さんを、BMIで4つのグループに分けました。グループAはBMI 18.5未満(低体重)、グループBはBMI 18.5-24.99(正常体重)、グループCはBMI 25.0-29.99(過体重)、グループDはBMI 30以上(肥満)です。

グループAは128人から得られた593個の胚、グループBは1107人から得られた5248個の胚、グループCは226人から得られた1053個の胚、グループD67人から得られた286個の胚が対象です。

グループD(肥満)の胚は、グループB(正常体重)の胚に比較して、胚が5細胞に到達する時間(t5)、8細胞に到達する時間(t8)が長いことがわかりました。グループC(過体重)の胚は、グループB(正常体重)の胚に比較して、胚が8細胞に到達する時間(t8)が長いことがわかりました。

胚の形態や妊娠率に関しては、グループ間に有意差はありませんでした。

グループA(低体重)の胚は、グループB(正常体重)の胚に比較して、流産率が高いことがわかりました。

結論は、
従来の静的な形態評価ではなく、タイムラプスイメージングを用いた動的な形態評価を行うことにより、母体のBMIが胚発育に影響を及ぼしていることが明らかになった。「母体の肥満や過体重」と「胚発育の遅れ」には関連がある。
でした。

体重は、軽すぎても重すぎてもダメです。正常体重(BMI 18.5-24.99)を目指しましょう。

そして、肥満や過体重は、生活習慣病など別の弊害も出てきます。妊娠を目指す上で、生活習慣の改善は避けて通れません。体外受精の技術力で妊娠させてもらうのではなく、体外受精を助けを借りながら、自分でも妊娠しやすい身体づくりをして、自分の力で妊娠するんだという意識を持つことが重要です。
 

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