幸町IVFクリニック

院長

お酒好きの女性に朗報!

2019.06.28

幸町IVFクリニック院長 雀部です。

今日は、飲酒と治療の成績の話です。

不妊治療中の女性は、「タバコはダメです」、「運動をしましょう」、「カロリーは控えめに」などなど、あれもダメ、これもダメとうるさく言われることが多いのではないでしょうか。「そんな仙人みたいな暮らししてらんないよ」と、つい飲み過ぎてしまうアルコール好きな方いらっしゃいませんか?

そんなアルコール好きな女性に朗報です。

今月発表されたばかりの論文を紹介します。
Lyngso, J., et al. (2019). “Low-to-moderate alcohol consumption and success in fertility treatment: a Danish cohort study.” Hum Reprod.

2010年1月~2015年8月、デンマークで行われた研究です。

1708組のご夫婦(またはカップル)が行った1511周期の人工授精、2870周期の体外受精または顕微授精、1355周期の凍結融解胚移植の治療成績とアルコール消費量と関連を調べました。

治療開始前に質問票にて1週間のアルコール摂取状況を調べました。1杯をアルコール12gと規定して、週0杯の女性(禁酒家)、週1-2杯飲む女性(低消費)、週3-7杯飲む女性(中等消費)、週7杯より多く飲む女性(高消費)に分けました。

人工授精周期における生児獲得率を、アルコールを摂取しない女性と比較した修正リスク比は、週1-2杯飲む女性1.00 (95%信頼区間0.66; 1.53)、週3-7杯飲む女性1.20 (0.76; 1.91)、週7杯より多い女性1.48 (0.56; 3.93)で、有意差はありませんでした。

体外受精または顕微授精における生児獲得率を、アルコールを摂取しない女性と比較した修正リスク比は、週1-2杯飲む女性1.00 (95%信頼区間0.83; 1.21)、週3-7杯飲む女性0.95 (0.75; 1.20)、週7杯より多い女性0.89 (0.53; 1.51)で、有意差はありませんでした。

最初の治療(人工授精、体外受精または顕微授精)前の1ヶ月間に、羽目を外して飲み過ぎた回数と生児獲得率には、関連はありませんでした。

結論は、
「低~中等量のアルコール消費、羽目を外して飲み過ぎたエピソードは、人工授精、体外受精または顕微授精の臨床妊娠率、生児獲得率に影響しない。」
でした。

よかったですね。アルコールは少しぐらいなら治療成績に影響しないみたいです。根を詰めすぎている方、たまにはアルコールで息抜きをしましょう。ただし、飲み過ぎにはご注意を!

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