幸町IVFクリニック

院長

40代の妊娠は何がハイリスク?

2019.07.04

幸町IVFクリニック院長 雀部です。

今日は、40代の妊娠のリスクについてです。

私は、「40歳までに妊娠・分娩を終えるつもりで、家族計画を立ててくださいね」といつも患者さんに説明しています。それは、40歳以降は妊娠のリスクが跳ね上がるからです。しかし、「40代の妊娠はハイリスクですよ」と言われても、何がどのようにハイリスクなのかピンとこない方もいらっしゃるのではないでしょうか?

そこで、年齢と好ましくない妊娠結果の関連性を検証した研究を紹介します。

Frederiksen, L. E., et al. (2018). “Risk of Adverse Pregnancy Outcomes at Advanced Maternal Age.” Obstet Gynecol 131(3): 457-463.

デンマークにて行われた研究です。369,516の単胎妊娠を対象としました。

35-39歳のグループ、40歳以上のグループを20-34歳のグループと比較し、年齢と好ましくない妊娠結果の関連性について検討しました

この研究では、好ましくない妊娠結果として、染色体異常児、染色体正常児の先天性異常、流産、死産、妊娠34週以前の分娩を取り上げています。

40歳以上のグループでは、10.82%の女性が1つ以上の好ましくない妊娠結果を経験したのに対して、20-34歳のグループでは5.46%でした(オッズ比2.02、99.8%信頼区間1.78-2.29)。

40歳以上のグループは、20-34歳のグループと比較して、染色体異常(3.83% vs 0.56%)、流産(1.68% vs 0.42%)、妊娠34週以前の分娩(2.01% vs 1.21%)に関してハイリスクであることがわかりました。死産と染色体正常児の先天性異常に関しては、リスクに差はありませんでした。

リスク予測チャートによると、母体高年齢、生殖補助医療の使用、未経産、妊娠中の喫煙、肥満は、好ましくない妊娠結果の絶対的予測リスクを上昇させることがわかりました。

冒頭にて述べたとおり、妊娠・分娩は40歳までに終えることが望ましいです。しかし、諸事情により妊娠・分娩が40歳以降になった方は、ここで挙げたリスクを十分に認識し、慎重に経過を診る必要があります。

妊娠は、年齢が上がるに従いリスクも上昇します。35歳以降の女性は1歳でも早く妊娠することが重要です。40歳以降の方は一般不妊治療をやっている余裕はありません。直ちに体外受精を検討してください。35-39歳の方は一定期間(1年以内)一般不妊治療を行い、結果がでない場合はすばやく体外受精にステップアップしてください。

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