幸町IVFクリニック

院長

40歳未満、原因不明は体外受精が有効!

2019.07.11

幸町IVFクリニック院長 雀部です。

今日は、原因不明不妊の話です。

「一般不妊検査で異常なし=私たちには異常ない=体外受精をやらなくても妊娠できるはず」

と考えている方いらっしゃいませんか?そういう方は、過去の記事「原因不明なのになぜ体外受精?」を参照して下さい。

不妊原因不明の患者さんを実際に体外受精で治療した結果を検証した研究を紹介します。今年の6月に発表されたばかりの論文です。

van Eekelen, R., et al. (2019). “IVF for unexplained subfertility; whom should we treat?” Hum Reprod.

体外受精を受けた原因不明のイギリスの40,921カップルと待機療法(医療介入は行わずにタイミング指導のみ)を行った原因不明のオランダの4,875カップル、スコットランドの975カップルを比較しました。

1年以内に妊娠したカップル、無排卵症、卵管閉塞、子宮内膜症、男性不妊のカップルは除外しました。

1年間の治療後の妊娠率は、体外受精47.9%、待機療法26.1%でした。体外受精の方が、21.8%妊娠しやすいことがわかりました。

さらに詳細な解析を進めると、女性が40歳未満のカップルは、待機療法と比較して体外受精の方が有効でしたが、34歳を過ぎるとその効果が急激に低下することがわかりました。

一方、女性が40歳以上のカップルについては、待機療法と比較して体外受精はあまり有効ではなく、その差は10%以下でした。

女性の年齢に関わらず、不妊期間が短い(1年)、続発性不妊のカップルには、体外受精はあまり有効ではありませんでした(30%以上の自然妊娠率が見込まれるため)。

結論は、
「女性が40歳未満の原因不明カップルには、(待機療法と比較して)体外受精が有効である」
でした。

原因不明のカップルは、奥様の年齢が若い内に体外受精をトライした方が、良い結果が得られるようです。不妊治療はとにかく早めに!

逆に「じゃ、女性が40歳以上になったら体外受精をやる意味が無いんだ」という風に考えるのは危険です。

女性が40歳以上の原因不明カップルで、体外受精の有効性が低いというのは、体外受精と待機療法どちらを選択したとしても、妊娠に関してシビアな状況に置かれていますよということだと思います。治療としては、より精度の高い体外受精をお勧めします。

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