幸町IVFクリニック

院長

内膜が薄いと出生時体重が低下

2019.08.15

幸町IVFクリニック院長 雀部です。

今日は、子宮内膜の厚さの話です。

以前より、子宮内膜の厚みと妊娠率には関連があり、子宮内膜が薄いと妊娠率が低くなると言われています。そのため、毎周期、超音波で測った内膜の厚さに一喜一憂している方が多いのではないでしょうか。

今回は、以前より言われている妊娠率との関連の話はとりあえず置いといて、子宮内膜の厚みと出生時体重との関連を調べためずらしい研究を紹介します。今月発表されたばかりの最新の論文です。

Zhang, J., et al. (2019). “Effect of endometrial thickness on birthweight in frozen embryo transfer cycles: an analysis including 6181 singleton newborns.” Hum Reprod.

2010年1月~2017年12月、6181人の女性を対象に行われた後ろ向き研究です。

対象の女性を、凍結胚移植周期における子宮内膜厚で5つのグループ(8mm未満、8-9.9mm、10-11.9mm、12-13.9mm、14mm以上)に分け、単胎児の出生時体重との関連を検討しました。

その結果、8mm未満のグループは、10mm以上のグループと比較して、出生時体重が有意に低く、その差は89-108gになることがわかりました。

子宮内膜の厚みと妊娠率の関連はよく言われているので、常識的な話として定着していますが、子宮内膜の厚みと出生時体重が関連しているというのは興味深いですね。

子宮内膜が薄いとなぜ出生時体重が低くなるかについては、よくわかっていません。この論文の考察では、子宮内膜の血流、酸素分圧が関係しているのではないかと述べられています。要するに、子宮内膜が薄いと血流が悪くなり、それに伴い酸素分圧が低下するため、胎児の発育が悪くなるのではないかということです。

子宮内膜が薄い方は、妊娠率だけでなく、妊娠した後も出生時体重について注意しておく必要がありそうです。

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