幸町IVFクリニック

院長

第2子治療開始はあわてないで!

2019.09.26

幸町IVFクリニック院長 雀部です。

今回は、第1子分娩~第2子治療再開までの間隔の話です。

第1子妊娠後、当院から産科の病院へ転院する際、「第2子の治療はいつ頃から始められますか?」という質問を受けることがあります。私は大抵、「授乳が終わって生理の周期が再開したら、治療できますよ」と説明しています。授乳中はプロラクチンというホルモンが高くなり、性周期が不安定になるからです。

ほとんどの方は、その説明で納得してくれるのですが、中にはご自身の年齢やその他家庭の事情により第2子妊娠を急ぐ方がいらっしゃいます。初乳をあげたら薬を使って断乳して、すぐにでも治療再開したいという強者もいます。

前の分娩から次の治療開始までの間隔が短すぎることが、次の妊娠・分娩に何か不利益をもたらさないかを検討した研究を紹介します。

Quinn, M. M., et al. (2018). “Interpregnancy Interval and Singleton Live Birth Outcomes From In Vitro Fertilization.” Obstet Gynecol 132(1): 115-121.

大規模データベースを用いた後ろ向き研究です。

分娩後に行われた新鮮胚移植51,997周期のうち、17,536周期で生産に至り、11,271人の単胎児が出生しました。そのうち40.9%が前の分娩から次の治療開始までの期間が18ヶ月未満でした。

前の分娩から次の治療開始までの期間が12~18ヶ月未満の分娩と比較して、6ヶ月未満と6~12ヶ月未満の分娩では、早産率が有意に高いことがわかりました。

前の分娩から次の治療開始までの期間が12~18ヶ月未満の分娩と比較して、6~12ヶ月未満の分娩では、早産率が3%高く(13.6±1.1% vs 10.6±0.7%)、低出生体重児率が2.7%高い(8.0±0.9% vs 5.3±0.5%)ことがわかりました。

結論は、前の分娩~次の児の治療開始まで、12ヶ月以上空けることが推奨されるでした。

前の妊娠で伸びきった子宮筋が完全に元に戻るには、1年程度はかかるということではないでしょうか。分娩後は、あわてないで1年程度はゆっくりと目の前にいるお子さんに授乳してあげましょう。

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