幸町IVFクリニック

院長

反復着床不全・その後

2019.10.24

幸町IVFクリニック院長 雀部です。

今回は、反復着床不全の話です。

良好胚を何回移植しても、着床しない方がいらっしゃいます。一般に、良好胚を3回以上移植して妊娠しないと、反復着床不全と診断します。苦労して良好な受精卵を作って、妊娠が目前まで来ているのに着床しない状態は、非常につらいと思います。

今回は、反復着床不全と診断された患者さんのその後を追跡した研究を紹介します。今月発表された最新の論文です。

Koot, Y. E. M., et al. (2019). “What is the prognosis for a live birth after unexplained recurrent implantation failure following IVF/ICSI?” Hum Reprod.

後ろ向きコホート研究です。

この研究では、良好胚を1個以上含んだ胚移植が連続3回以上不成功に終わっている、または10個以上良好胚を移植して妊娠に至っていない状態を反復着床不全と定義しています。

2008年1月~2012年12月に2つの施設で治療を受けた2,731人のうち、39歳未満、原因不明の反復着床不全と診断された223人が対象です。223人の内、118人からこの研究に対する同意が得られました。

反復着床不全の原因となり得る「39歳以上」、「自己免疫疾患」、「子宮奇形」、「切迫した卵巣不全」、「卵管留水症」の方は、除外されています。

最長5.5年の追跡調査の結果、累積生産率は49%でした。妊娠までに要した期間の中央値は、9ヶ月でした。18%の方は、自然妊娠でした。

原因不明の反復着床不全と診断されても、時間をかければ約半数の方が妊娠・分娩できたという結果でした。

気になったのが、慢性子宮内膜炎について言及が無いことです。慢性子宮内膜炎は、反復着床不全の30%に認められるといわれています。この研究で妊娠しなかった方の中には、慢性子宮内膜炎の方が含まれている可能性があり、適切な診断と治療によってもっと妊娠できる方を増やせるのではないかと思います。

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