幸町IVFクリニック

培養室

胚の評価について

2022.04.26

こんにちは!培養室の堀井です!

外はぽかぽか陽気でいい天気ですね!たまに実家の親から日向ぼっこをしたり、お散歩を楽しんでいる犬の写真を見たりしながら日々癒されています♡

さて今回は、胚の評価についてお話ししたいと思います!

「自分の胚ってどのくらい良い状態…?」という疑問を持つ方は多いのではないしょうか?気になる方は、是非参考にしてみてください♪

受精した卵は前核期胚(Day1)、初期胚(Day2~3)、桑実胚(Day4)、胚盤胞(Day5)という過程を経て成長していきます。

今回は胚盤胞の評価についてお話したいと思います!

 

当院では、Gardner分類に準じて胚盤胞の評価を行っています。

胚盤胞の評価は、                                                                                   

①胚盤胞の膨らみ具合

②内部細胞塊(ICM):赤ちゃんになる部分

③栄養外胚葉(TE):胎盤になる部分

の3点に着目します!

 

①は胚盤胞が大きくなるにつれ1~6数字に、

②、③はA~Cのローマ字にそれぞれ区分して評価しております。

 

それぞれ詳しくは下記のように判断しています。

 

①胚盤胞の膨らみ具合                    

1                 胚盤胞腔が胚容積の半分未満

  初期胚盤胞(Early Blast:EB)

2                                    胚盤胞腔が胚容積の半分以上    

 

3 胚盤胞(Blast:Bl)                 胚盤胞腔が完全に胚を満たす

 

4 拡張胚盤胞                            胚盤胞腔容積がさらに拡張し、

(Expanded Blast: ExB)             透明帯が薄くなってきている

 

 

5 孵化中胚盤胞      栄養外胚葉が透明帯の外に

(Hatching Blast: Hg) 脱出し始めている

 

 

 

6 孵化後胚盤胞    胚が完全に透明帯から脱出したもの

(Hatched: Hd)

 

 

②内部細胞塊(ICM):赤ちゃんになる部分

③栄養外胚葉(TE):胎盤になる部分

 

 

 

このように3つの視点を組み合わせて形態的評価で決め、①②③の順でスコアをつけます!

①胚盤胞の膨らみ具合については、基本的には、成長がはやく、大きく膨らんでいる

胚のほうが、成長が遅い胚よりも良好胚で、妊娠率は高くなると考えられます。

 

例えば、通常の成長速度である5日目で3AAの胚と6日目で3AAと少し成長が遅れた胚では、5日目で3AAの胚のほうが良好であると判断されます。

 

②ICMや③TEでは、特に③TE着目することが大切です!

 

TEは胎盤になる部分,つまり移植をして子宮へ着床するときに活躍する部分になります! TEの育ちが良い胚は着床しやすく、妊娠率は高くなります。

 

そのため、Gardner分類において、②ICMと③TEでのA、B、Cでは意味合いが少し変わってきます。②ICMも大切な部分ですがICMがBやCの評価だとしても、③TEの評価がA、Bであれば、移植可能な胚になりうることがあります!

 

このように、Gardner分類のスコアだけを見るのではなく、形態や発生過程、発生スピード、そして、AIが胚を数値で評価しているiDAScoreというものを参考にしたり、さまざまな点に着目して判断します。

その結果、総合的に妊娠につながる胚なのか判断し、移植や凍結を行っております!

 

なんとなくお判りいただけたでしょうか…?

皆様にはわかりやすく、良好、中等、不良の3段階でお伝えしております!

 

では、「成長速度が遅かった胚を移植しても妊娠できない…?」

そう思われるかもしれませんがそれは違います!

 

上記のように、成長が遅い胚は確かに成長が早い胚よりも、妊娠率は低下してしまいます…しかし、成長が遅い胚でも妊娠する可能性はあります!

なぜならば、成長が遅い胚でも、染色体構成が正常な胚の可能性もあるからです!

胚の正常性を確かめるためには、形態的に判断することと、着床前遺伝学的検査(PGT:preimplantation genetic testing)を行うことで、詳しく調べられます!

PGTには…

①染色体の数の異常を調べるPGT-A、

②染色体の構造の異常を調べるPGT-SR、

③遺伝子疾患を引き起こす可能性のある遺伝子の異常を調べるPGT-M

…があります!

当院ではPGT-Aを行うことができます。

染色体の数に異常がある場合、着床不全や流産につながる可能性があります。

PGT-Aを行った場合、染色体構成が正常だった胚を移植し、事前に着床不全や流産を防ぐことができます。

PGT-Aを行うことで、形態的に判断された結果が異なることがあります。

例えば、形態的に同じ3AAでありながら、成長が早い良好胚、その胚よりも成長が遅い胚があった場合、成長が早い胚の方が妊娠の可能性があると判断します。

しかし、PGT-Aの結果、良好だと思われていた胚に染色体異常が見つかる一方で、成長が遅い胚では染色体構成が正常だった場合、成長が遅い胚のほうが、妊娠する可能性が高く、流産する可能性が低い胚だと判断できます。

このように成長が遅かったり、評価が低い胚でも妊娠の可能性はあります!

もしPGT-Aについて気になりましたら、当院でPGTは行っているので、先生にご相談ください!詳しい内容は当院のHPや、過去の培養室のブログに詳しくのっているので見てみてください♪

長文になりましたが、ほかにご不明な点や、気になる点がありましたら、その都度、先生や培養士に聞いてみてください♪

 

 

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