iDA Score
こんにちは!今回は培養室の田幡が担当致します!
先月、パシフィコ横浜で開催された学会に参加してきました!
初めての学会参加ということで、発表者でもないのにドキドキしてしまいました(笑)
しかし、大学時代の友人に会えたり、頭がパンクするくらい新しい知識を得られたりと、とても有意義な時間を過ごすことができました!!
今回は、学会でもたくさんの発表者がテーマとしていた
『iDA Score』 についてお話していきたいと思います!
まず、iDA Score とは、
いくつかの基準から胚の可能性に応じて、統計的にスコアをつけていく人工知能AIツールのことです。
スコアは、1から9.9の数値で評価され、数値が高いほど良好胚だと識別されます。
このシステムは約115000個の胚の分析に基づいてスコアをつけ、人間がそのスコアを移植実施などの判断材料します。
胚の発生過程を個別に撮影できるタイムラプスインキュベーターは、培養環境は整えたまま、受精後から時間経過とともに胚の発生状態を撮影してくれる優れた機能をもちます。
これにより、胚をインキュベーターの外へ出すことなく観察でき、人が胚を観察できない時間帯もどんなふうに成長していっているのか後からでも知ることができるのです!!
(タイムラプスインキュベーターについては当院のHPにも掲載されているのでぜひ一度ご覧下さい♪)
その中で、受精5日目(培養112時間以上)以降まで培養できたものは、AIが胚の発生状況や見た目等のタイムラプスのデータを活用して胚のグレードとしてスコアを算出します。
PGT-A等を行っているわけではないので、確実なものとは断言できませんが、スコアが高ければ、染色体異常の可能性が低いという見解もあります。
また、スコアの高さとPGT-Aをした胚の正常胚率が有意に相関している、
と述べた論文もありました。(Keiichi Kato,et al.2022)
(PGT-Aについての詳しいお話は、ぜひ過去の培養室ブログや当院のHPをご覧ください♪)
当院でもAIによるiDA Scoreの評価を、移植時や凍結時の指標の一つとして取り入れております。
しかし、ここで気を付けたいのは、そのスコアだけですべてを判断して良いわけではないということです!!!
たしかに、胚を点数で説明するのは、医師や培養士からみても便利なものであり、患者様にとっても分かりやすく客観的で理解しやすい評価であるといえます。
ただ残念ながらAIの評価だって100%ではありません。
数値の高い方が妊娠率が高いというデータはありますが、それも人間が、AIの評価が正しいかどうか判断した上でのものです。
AIは、胚の表面的な部分は判別できても、その過程や患者様の状態までは知ることができません。
逆に、AIの評価が低く、人間の評価が高ければ、何か見落としていたのかも。と気づくこともできます。
人間の目による形態学的評価や胚の分割の仕方、撮影時にフレームから外れていないか、発生時間は遅れていないか、iDA Scoreと人間の目でみた胚の評価に食い違っている部分はないか、患者様の年齢や過去のデータ等、さまざまな条件をスコアと併せて考えます。
(形態学的評価についての詳しいお話は、ぜひ過去の培養室ブログをご覧ください♪)
それらすべてを考えた上で、妊娠の可能性が十分にあると判断した胚を移植や凍結すると決定しています!
数値がやや低かったとしても、妊娠の可能性が十分あることもあります!!
逆に、数値が高くても移植や凍結を勧めないということは、なにか理由があったり、AIの識別が間違っていると判断しているからです。
iDA Scoreもタイムラプスインキュベーターも人間の目も、
すべて上手く活用しているからこそ正確に判断できます。
もちろん、最終決定は患者様の希望ですが、数字の高い低いだけで不安にならず、気になったことがあればぜひ相談してみてください♪
私はまだまだ、胚の評価ができるほど目が育っていませんが、日々先輩方の隣で勉強させていただいています!!
基礎的な部分が大事になってくるところですので、自身での勉強だけでなく、日々の仕事内容からもたくさん学んでいけたらと思います!!
今年の診療は明日で最後となります。
我が家は毎年おせちを食べるのですが、
今年はちょっぴりいいお肉ですき焼きでもしようか
なんて話にもなりました(^^♪
まだまだ寒い日がつづきますが、
みなさま身体を冷やさず素敵なお正月をお過ごしください♪