幸町IVFクリニック

培養室

良好胚を移植しても妊娠しないのはどうして?

2023.07.25

こんにちは。

今回は培養室の原が担当させて頂きます。

先日ついに幸町IVFクリニックの公式インスタグラムが開設されました!!

培養室のスタッフが定期的に更新していますので、当院に通われている患者さんや当院にご興味がある方はぜひチェックしてみて下さい。

SNS慣れしているスタッフが少ないので、開設するまで一苦労でした・・・。

映え写真とは程遠い投稿ばかりかもしれませんが、大目に見てください(><)

 

さて、

今回のブログは「良好胚を移植しても妊娠しないのはどうして?」をテーマに書きたいと思います。

 

良好胚を複数回移植しても着床しないことがあります。

そのことを着床不全や着床障害と言います。

原因は主に子宮、胚、母体の免疫の問題です。

今回は子宮の問題に着目して説明します。

 

考えられる子宮の問題は主に4つです。

 

  • 子宮内腔の病変

 

子宮内膜ポリープや子宮筋腫、子宮腺筋症などが着床の妨げとなっている可能性があります。

超音波検査を行って病変が疑われる場合にはMRIや子宮鏡検査などで詳しく検査する必要があります。

子宮鏡検査は胃カメラのような細長い専用の内視鏡を子宮内に挿入する検査です。

月経終了~排卵までの期間に行い、痛みは多少の下腹部痛がある程度で麻酔は必要ありません。

子宮鏡検査によって病変が見つかった場合、抗生剤を使って治療を行う場合や手術が必要になる場合があります。

 

  • 子宮内環境が悪い

 

子宮内には善玉菌と悪玉菌が存在し、そのバランスが子宮内環境の状態を決めています

子宮内では善玉菌が優位な状態にあることで腟や子宮の健康を保っています。

しかし、悪玉菌の割合が高くなると、子宮内環境が悪くなってしまいます。

不健康な状態だと良好胚を移植してもなかなか着床できません。

また、バランスが崩れている場合、慢性子宮内膜炎に罹患しやすくなります。

慢性子宮内膜炎は慢性的に子宮内膜に炎症が起こっている状況で、自覚症状がなく、知らないうちに罹患している場合があります。

実際に不妊でお悩みの30%の方、習慣性流産や着床不全の66%の方が罹患しているとも言われています。

子宮内環境はEMMA/ALICE検査や子宮内フローラ検査で調べることができます。

子宮内膜の採取を行うので月経痛程度の痛みを伴いますが、麻酔を使う処置ではないので検査後はすぐ帰宅できます。

検査の結果、治療が必要な場合には抗生剤や乳酸菌の投薬を行い、子宮内環境の改善を行います。

 

 

  • 着床の窓がずれている

 

子宮内膜には着床に適した期間(着床の窓)があり、この時期に適切な日齢の胚が子宮にやって来ると着床できます。

人によって窓が開いている時期に違いがあり、胚も着床できる時期が決まっています。

つまり、子宮内膜の時計と胚の時計がぴったり合っていないと着床できません。

胚移植を行うタイミングが着床のタイミングと合っているのかERA検査によって評価をすることができます。

EMMA/ALICE検査や子宮内フローラ検査と同じく子宮内膜の採取を行う検査です。

窓の開いている時間が正常な時間に比べてずれている場合、検査の結果により胚移植のタイミングを補正することで着床が期待できます。

 

 

 

  • 子宮内膜の質が悪い

 

着床には胚のベッドとなる子宮内膜の質が重要です。

子宮内膜がなかなか厚くならないなど、子宮内膜の質が低い場合は着床しない可能性があります。

ふかふかの質の高いベッドと、せんべい布団の体の休まらない質の低いベッドを思い浮かべて頂くと分かりやすいかもしれません。

当院では内膜の質の改善にPRP(自己多血小板血漿)療法をおすすめしています。

PRP療法というのは、ご自身の血液から抽出した高濃度の血小板を子宮内に注入する治療です。

血小板は組織の修復や損傷部位の治癒をする働きがあり、高濃度のものを投与することで子宮内膜の細胞増殖を促し、再生能力を局所的に最大化する治療です。

様々な疾患領域にて有効性が認められ、アレルギー反応などの心配が少なく、安全性の高い治療と言われています。

凍結融解胚移植の周期中に来院して頂き、月経周期の10-11日目に1回目の投与、その2-3日後に2回目の投与を行います。

PRP療法を行う当日は採血、PRPの作製、安静にして頂く時間や待ち時間などを含めて1回あたり2-3時間かかります。

1回の注入でも一定の効果が期待できるので2回目は省略可能です。

PRPを投与する際、痛みはほとんど伴いません。

 

 

 

良好胚を移植しても着床しない原因は子宮の問題だけではなく、胚の染色体の問題や母体の免疫学的異常なども考えられます。

今回は最近の流行りなので子宮について解説させて頂きました。

当院のホームページでもそれぞれについて説明しておりますので、ご確認下さい。

 

近々、当院の待合室で着床不全についての動画がご視聴頂ける予定ですので、当院に通われている患者さんはチェックしてみて下さい。

また、土曜日に定期的に開かれているセミナーで院長が一部説明しております。

ぜひセミナーにもお越し下さい。

 

当院は8月3日から8日が夏休みとなります。

患者さんの中にもお盆休みは何かとイベントがあるため来院スケジュールが組みにくくなるかと思います。

何もしないのは時間がもったいない、1周期も無駄にしたくないという方は、この期間にしっかり卵巣を1周期お休みさせて、子宮を調べる検査を受けるのはいかがでしょうか?

 

 

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