☆クラミジア感染症検査
こんにちは。技師の佐藤です。
今回は【クラミジア感染症】について。
クラミジア感染症は「クラミジア・トラコマティス(Chlamydia trachomatis)」という病原体により引き起こされる感染症のひとつであり、その患者数は日本では性感染症の中で最も患者数が多い感染症です。
クラミジアは主に性交渉を感染源とする粘膜感染症であり、男女共に無症状のケースが半数以上と多く、感染に気が付かずに放置してしまうことで、男性不妊や女性不妊につながる原因になり、そのリスクを高めてしまいます。
男性は尿道より感染し炎症が生じることで痒みや排尿時の痛みが出たり排膿が起こったりすることがあります。治療せずにいると精巣で造られた精子を精管に送り出す役割をする精巣上体にまで感染が広がり、精管が塞がって射精された精液の中に精子がいないという状態になってしまう可能性もあります。
女性は感染するとおりものの量・色の変化や不正出血、下腹部痛の症状が見られることがあります。
クラミジアは上行感染といって膣から上へと感染が広がっていくため、感染を放置すると、子宮頸管炎・子宮内膜症・卵管炎・卵巣炎・骨盤腹膜炎と順に広がっていきます。
子宮内膜や卵管に広がると、着床障害や卵管障害を起こし、子宮外妊娠のリスクが高まります。
女性の場合、不妊症の原因のおよそ3割は卵管因子とされています。その中でもクラミジア感染症による卵管の狭窄や閉塞、卵管周囲の癒着が原因となるケースは6割以上を占めるとされています。
また、妊娠中の感染は、流産や早産の原因となることや、産道感染により赤ちゃんが肺炎や結膜炎を起こすこともあります。
上記のような理由から、不妊治療においてクラミジア感染症の検査は必須です。
当院では血液検査でクラミジア・トラコマティス IgA抗体・IgG抗体の検査をし、血液中のクラミジアに対する抗体を調べ過去の感染の有無を調べています。
クラミジアは自然治癒しないため、検査結果によっては現在の感染の状況を調べるための精査や抗生剤の内服治療をしていただきます。
今回は当院でおこなうクラミジアの検査と理由について簡単にご紹介しました。
インフルエンザやコロナなどの感染症にもまだまだ気を抜けず体調管理も大変ですが、春はもうすぐ、元気に過ごしてまいりましょう!
監修医師紹介
幸町IVFクリニック 院長 雀部 豊
医学博士、産婦人科専門医、生殖医療専門医、臨床遺伝専門医
1989年東邦大学医学部卒業、1993年同大学院修了。
大学院時代は、生殖医学専門の教授に師事し、胚の着床前診断(現在の着床前遺伝学的検査PGT)の研究を行う。以降、生殖医学を専門に診療・研究を従事。2011年、東京都府中市に幸町IVFクリニックを開設、同クリニック院長。一般不妊治療から生殖補助医療、着床前遺伝学的検査(PGT-A/SR)まで幅広く診療を行っている。
※本記事の医師監修に関して、学術部分のみの監修となり、医師が具体的な施術や商品等を推奨しているものではございません。