幸町IVFクリニック

培養室

紡錘体可視化システムを導入しています!

2024.03.22

紡錘体は染色体を含む構造体で、

細胞が分裂するとき、

それぞれの細胞に同じ本数の染色体を

分配するための重要な役割を持っています。

 

卵子の細胞質内に位置しているため

顕微授精の際に傷つけてしまうと、

その後の受精や胚の発育に悪影響を及ぼすことがあります。

また、紡錘体は受精前の卵子の成熟度を判断する重要な指標となります。

 

紡錘体は、通常の顕微鏡下での観察はできず、

特殊な装置:紡錘体可視化システムを使用してのみ観察できます。

当院ではこのシステムを10年以上前から導入しており、

より精密度の高い顕微授精を心がけています!

 

 

2019.8月のブログにて

卵子の発育のお話をしました。

(卵子が育つまでのはなし)

卵胞の中にある卵子は、排卵の直前まで

第一減数分裂前期という段階で休眠状態です。

卵胞刺激ホルモン:FSHの作用で卵胞の発育が進むと

黄体化ホルモン:LHが放出されます。

LHは  ・卵子の減数分裂の再開を促す

・排卵を促す

という仕事を担っています。

 

LHによって卵子の第一減数分裂が再開し、

細胞が分裂すると

卵子の細胞質のほとんどがひとつの細胞に引き継がれ、

もうひとつは第一極体として放出されます。

(第一極体放出の様子は当院インスタグラムにてご覧ください)

 

そして、このタイミングで排卵します。

 

体外受精の周期では排卵の直前に採卵を行います。

 

卵子は、排卵(採卵)後第二減数分裂を開始しますが、

すぐに第二減数分裂中期で再び停止してしまいます。

この状態で、精子との受精を待ちます。

 

精子と受精する準備が整った卵子を

紡錘体可視化システムを用いて観察すると、

第一極体の下にラグビーボール様の構想物が見えます。

これが紡錘体です。

 

従来、紡錘体は第一極体の直下あるいはその付近に位置しているとされていたので、

第一極体を12時あるいは6時の位置に置いて、

3時の位置から顕微授精を行っていました。

しかし、紡錘体を観察できるようになると、

顕微授精で穿刺する可能性がある部位にも

紡錘体が位置している場合があることが判明し、

顕微授精の際に紡錘体の位置を確認することの重要度が高まりました。

 

また、紡錘体を観察することで

卵子の核の成熟度を判断できるようになりました。

以前は第一極体に放出で卵子は成熟したものと考えられてきましたが、

卵子によって核の成熟度に差があることが分かってきました。

その成熟度に合わせて、時間を調整し顕微授精を行うことで

受精率が向上します。

 

当院では

紡錘体の位置・成熟度を確認し、

個々の卵子に合わせた丁寧な顕微授精を行っています。

 

 

卵子の紡錘体成熟度の違いの画像は

当院ホームページに掲載されています。

また、インスタグラムにも掲載する予定です。

 

当院のインスタグラムは、

主に培養士が投稿しています。

少しでも私たち培養士を身近に感じていただけたら・・と思っています。

 

花粉症の季節は体調が不調に傾きがちです。

季節の変わり目で風邪もひきやすくなりますので、

体調管理には十分にお気を付けください。

 

培養室の大日方でした。

 

 

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