3ヶ月で精子が元気に?!
ひんやりジェルマットの上でだらだらするのがお気に入り
培養室の吉田です。今日は禁煙のススメについてです。
パソコンの前に座っている愛煙家のご主人も、ブラウザを閉じずに
ちょっとだけお付き合いを♪
培養室で胚を扱う際には、細いガラスの管とチューブをつないで
チューブを口にくわえ、息を吸ったり吐いたりすることで、ガラスの管に
胚を出し入れして培養液の中を移動させます。
培養液はとても不安定で、周囲の環境が変わると胚にとっての最適な状態が
すぐに崩れてしまいます。喫煙者の呼気には一酸化炭素が含まれていて、
胚を処理する際に、ほんのわずかですが一酸化炭素と培養液とが
接してしまいます。
それが原因で胚にダメージを与え、体外受精の成績に影響する可能性が
あるため、当院の胚培養士は全員が非喫煙者です。
実は採用面接の時からチェックしているんですよ~(・・)!
体外受精をなさる患者様にも、必ず禁煙をしてもらっています。
採卵をする周期の前周期、準備の周期の後半で、卵子の育ち具合を
調節するためにピルを処方することが多いのですが、タバコを吸いながら
その薬を服用してしまうと、血栓症を起こすリスクがあるんです。
血栓症とは、血管の中で血液が固まり、その塊が血流に乗って全身に
運ばれ、細い血管に詰まって血流を遮ってしまい、臓器がうまく機能
できなくなる状態です。
詰まる部位によって症状は異なりますが、脳が機能しなくなったり、
肺が機能しなくなったり、足が動かなくなったり・・・とっても怖い状態です。
そんな理由で、奥様には絶対禁煙をお願いしています。
ちなみにピルは、月経周期を整えるためや、避妊を目的として、
また生理の日をずらすためになど、様々な目的で服用されますが、
どのような場合でも血栓症のリスクがありますので、女性は不妊治療
しているかどうかに関わらず、タバコはやめたほうがいいですよ(^^)
禁煙を勧める理由はそれだけではありません。
タバコを吸うと全身に酸素が行き渡りにくくなります。毒素や異物も
除去しきれずに溜まります。
体内のすべての臓器が、本来持っている力を出し切れていない状態で
生活していることになります。脳も、筋肉も、心臓も、肺も、胃腸も、
肝臓も、お肌も、もちろん生殖器も。
そんな状態でつくられた卵子や精子は、元気がいいはずはありませんよね。
奥様は皆様必ず禁煙していただいていますが、落とし穴はご主人です。
実際、患者様に聞いてみると、ご主人が喫煙されている方が結構
いらっしゃいます。ご主人の喫煙について先生が厳しく指導するケースは
あまりありません。
しかーし!!体の中で精子が完成するのに約3ヶ月かかります。
今日射出された精子は3ヶ月間も、体の内でタバコの害を受け続けながら
旅を続けてきたのです。
元気な精子は1日にしてならず。
実際に、「禁煙してしばらくしたら、精子の所見が良くなったんです!」
と診察室で喜ぶ患者様の声も聞きました。
奥様は毎日のように採血や注射の痛みに耐えています(;_;)
私たち培養士も、精一杯手を尽くします。
日々の生活習慣を変えるのはとても大変なことですが、せっかく高額な
治療費をかけて体外受精を行うのです。ご主人もぜひ禁煙をして、
ベストな精子を培養室へ届けてくださいね!!
それではまた~(^^)/