胚移植後の生活のススメ
長い夏休みをいただき、
実家にてリフレッシュしてきた培養室の高村です。
気持ち新たに、さらに気を引き締めて行きたいと思います。
さて、今回は胚移植についてのお話です。
胚移植を終えた後、よく質問されることがありますが、
「お風呂に入っても大丈夫ですか?」
「自転車は乗らないほうがいいですか?」
「気をつけたほうが良いことはありますか?」など、
やはり無事に育った小さな命を大事に大事に思う気持ちは、
どなたもお持ちだと思います。
そこで、「胚移植後の生活のススメ」と題して、
参考までにアドバイスをさせていただきたいと思います。
まず、入浴について。
胚移植は、カテーテルと呼ばれる細い管を用いて
子宮の奥に受精卵を移植すること言いますが、
子宮の入り口に癖がある方では、少しカテーテルが入りにくいことがあります。
これは個人差によるもので、当院では事前に胚移植トライアルで対策法をねり、
本番に向けて準備をしておくので問題はありません。
しかし、まれに傷が生じ、そこから出血することがあります。
この出血は子宮の入り口の傷なので、特に心配する必要はありませんが、
傷口から何らかの感染症を引き起こす可能性が少なからず考えられます。
そのため、胚移植当日は湯船に浸からずシャワーのみとし、
湯船に浸かるのは出血が止まってからをお勧めしています。
そして、自転車の運転について。
移植した受精卵は、胚移植後およそ2~4日ほど経ったあたりで子宮に着床します。
子宮は筋肉で出来ており、外的刺激により収縮を起こすことがあります。
つまり、なんらかの刺激により子宮が収縮することで
着床に負の作用を及ぼす可能性が考えられます。
そこで、一般的には自転車に乗ったときに起こる振動が子宮に伝わり
それが原因で収縮作用が増すと言われているので、
可能な範囲で自転車の運転は避けるようお話しています。
ですが、着床に関して重要なのは
“胚の発育”と”子宮内膜の発育”のタイミングが合うことですので、
変にストレスを溜める環境で妊娠判定を迎えるより、
栄養をしっかり補充し、
また黄体補充の効果を最大限に生かすためにも
体はなるべく冷やさずあたたかくし、
その上で、いつもと同じ生活を送ることが一番大切だと思います。
妊娠判定までどうやって過ごすか、色々不安はあると思いますが、
たくさんのハードルを越え、胚移植までたどり着いた赤ちゃんですから
あとは、赤ちゃんの生命力を祈るばかり・
・・
そっと応援してあげてください。
そして、不安定な天気が続きますが、
ご自身のお体も大切にしてくださいね♪
それでは今回はこの辺で・・・。
監修医師紹介
幸町IVFクリニック 院長 雀部 豊
医学博士、産婦人科専門医、生殖医療専門医、臨床遺伝専門医
1989年東邦大学医学部卒業、1993年同大学院修了。
大学院時代は、生殖医学専門の教授に師事し、胚の着床前診断(現在の着床前遺伝学的検査PGT)の研究を行う。以降、生殖医学を専門に診療・研究を従事。2011年、東京都府中市に幸町IVFクリニックを開設、同クリニック院長。一般不妊治療から生殖補助医療、着床前遺伝学的検査(PGT-A/SR)まで幅広く診療を行っている。
※本記事の医師監修に関して、学術部分のみの監修となり、医師が具体的な施術や商品等を推奨しているものではございません。