幸町IVFクリニック

培養室

胚の凍結保存方法

2014.01.09

こんにちは。明けましておめでとうございます。
培養室の大日方です。

この年末年始は、旦那の実家がある京都で過ごしてきました♪
といっても、観光はあまりできず・・・でしたが。

さて、寒い季節なので今回は胚の凍結保存の方法について。
簡単にお話したいと思います。

凍結・・と聞くとお家の冷凍庫を想像される方もいるかもしれませんが(ToT);
胚は生きた細胞ですから、食品の冷凍と異なるきちんとした処置が必要となります。

細胞をそのまま凍結したら、細胞の中の水分が氷って、氷晶ができ、
それによって細胞は壊れてしまいます。それを防いで細胞を生きたまま凍結するには、
その細胞内が氷らない固体(→ガラス化状態といいます)となる必要があります。
この状態を作りだすために凍結保護剤が含まれた凍結専用の培養液を使用して
胚の凍結前処置をします。

その後液体窒素で凍結するのですが、以前は、緩慢凍結保存法といってその名とおり、
ゆっくりゆっくり時間をかけて冷やしていき、細胞内だけをガラス化する方法が主流でした。
この方法は全工程2-3時間と、とにかく時間がかかる!!
大半の作業は専用の機械がしてくれますが、待っているのがまた大変。
夜の8時、9時までかかることもよくありました・・・(ToT);。
しかも、液体窒素を大量に使うので一日に行える回数には限界があります。
そのため、一度の工程で複数個、同じ条件下で同時に進めなくてはなりません。

これに変わり、現在の主流はガラス化凍結保存法といい、
細胞内だけでなく細胞の外側もガラス化する方法です。
当院では平城17年頃から導入しました。

この方法はなんといっても処置時間が短い!
全工程でストロー1本あたり15分!!
早いですv(^o^)v
使用する液体窒素も少なく、その日の必要な時に必要なだけ行えます。
さらに胚を1個づつその胚の状態に合わせて丁寧に処置できるので
緩慢法と比べて胚の生存率を高くすることができます。

しかも!ガラス化凍結保存法は日本で開発された方法なのです。
この方法の普及で、融解胚移植が体外受精治療において重要な選択肢の一つになりました。
融解胚移植を選択することで、卵巣刺激症候群のリスクを回避したり、
子宮内膜をしっかり育てたり、子宮と胚の日齢を合わせることができます。
個人的には待ちぼうけな時間がなくなってとっても助かっています(^v^);

凍結方法に限らず、体外受精治療の技術は日々研究されて進歩しています。
当院でも学会に出席するなどして情報を得て、有用なものは日々の治療に活かしています。

今年も、より多くの方々が実りおおき年となりますように。
張り切っていきますので(^0^)y よろしくお願いします。

            体外受精は幸町IVFクリニック
にほんブログ村

 
人気ブログランキングへ

ご相談・初診のご予約はお気軽にContact