プロゲステロン膣錠
こんにちは!
培養室の前川です!
皆さんは、プロゲステロン(黄体ホルモン)の役割についてご存知でしょうか??
プロゲステロンは卵巣や子宮においてとても重要な役割を持つホルモンです。
受精卵が子宮内膜に着床するのを助けてくれたり、妊娠を維持するのに
重要な働きをしています。
また、基礎体温を上げるのもこのホルモンの役割です。
妊娠して高温期が続くようになるのは、このホルモンが頑張っている証拠です!
逆に、プロゲステロンの活性が障害される、つまり黄体機能不全が生じると、
着床に適した子宮内膜環境を作るのに支障をきたしてしまい、
着床障害や流産の原因の一つになってしまいます。
体外受精の場合、このプロゲステロンを含めたホルモンの状態を
コントロールする必要があるので、適切なホルモン剤の投与が必要になってきます。
プロゲステロンのホルモン剤については、胚移植が決定したら使用を開始し、
胚移植後もそのまま黄体ホルモン補充を継続して、妊娠が成立したら
ホルモン値が安定するまで使用します。
(ただし、このホルモン補充は個々の状況に合わせて行うので、
必ずしも全ての方が行うわけではありません。
ホルモン値等の状態をみながら必要に応じてホルモン剤を使用します。)
実際に使用する薬剤としては膣錠を使用します。
以前は、黄体ホルモン補充は飲み薬や注射を用いて行っていました。
しかし、飲み薬は服用は簡単ですが、合成のプロゲステロン製剤であり、
また経口投与なので肝臓を通過するときに代謝されることで活性が低下してしまいます。
注射は天然型なので安全ですが、痛みが伴い、注射のための通院の負担が増える
といった欠点がありました。
ただ、膣剤は今まで日本では認可されている薬がなく、飲み薬や注射を使わざるを得ませんでした。
今回、新たに日本で初めて天然型のプロゲステロン膣錠が認可され発売となりましたので、
当院でも導入致しました。この膣錠の最大の利点は投与後すぐに吸収されて、
膣から子宮に直接輸送されることで、速やかに子宮内膜で高い薬物濃度が得られることです。
これにより、効率よく優れた有効性が得られ、必要投与量も少なくて済むので
副作用が最小限に抑えられます。
飲み薬に比べたら多少負担はあるとは思いますが、こういったメリットがあることを
ご理解ください。
膣錠の使用方法に関しましては看護師が説明いたしますので、ご不明な点はお気軽にお尋ね下さい。