幸町IVFクリニック

培養室

異常受精って??

2016.03.03

こんにちは!
今回は培養室の前川が担当です!

体外受精の結果をご報告するときに異常受精という言葉を使うことがあります。
文字の通り異常な受精をしたということなのですが、では異常受精したとは
どういうことなのでしょうか?

卵子と精子の受精が正しく成立すると、受精卵には核が2つ出現します。
この2つの核を雌雄前核といいます。
つまり、正常受精では卵子由来と精子由来の2つの前核が確認できます。
ちなみに前核=PNなので、正常受精は2PNと表記されます。

一方、異常受精とは2PN以外の場合をいいます。
例えば、0PN、1PN、3PNなどがあります。
その原因としては、体外受精によって3PNが生じた場合は多精子受精が考えられます。
その他に、受精の過程で何らかの異常があって、正常に前核が形成されない(0PNや1PN)、
3つ以上の前核が形成されてしまう(3PN以上)ことがありますが、それらは
卵子の質が低い、もしくは未熟である、といった卵子側の原因によるものと考えられます。

いずれにしても、これらの異常受精由来の受精卵には染色体異常のものが含まれており、
移植の対象からは除外しています。
なので、受精確認の段階でしっかり正常受精と異常受精を見分けることが重要です。

受精確認は体外受精・顕微授精の翌日の朝に行います。
顕微鏡を使ってピントをずらしながら観察し判定を行っていますが、
中には前核同士が重なっていたり、細胞の他の構造物と重なっていたりして
前核が見えづらいこともあります。
また、前核は形成後数時間で消失してしまうので、受精の反応が早いものですと
翌日の朝にはすでに前核が消失してしまい0PNとして観察されることもあります。
その場合、本当は2PNの受精卵であったのにも関わらず0PNの異常受精と
判定されてしまう可能性があります。
そこで、当院では前核をより正確に観察するため、受精翌日の定時観察に加え、
タイムラプスビデオを使った連続観察によって受精の確認を行っています。
タイムラプスビデオというのは、受精卵を培養器にいれたまま動画で
その様子を記録できる機器で、発育に影響を与えずに観察することができます。
これによって見えづらい前核も動画だと観察しやすくなりますし、朝の時点で
前核が確認できない場合でも、それが消失によるものなのかを動画をさかのぼって
確認することで判断できます。

当院では2社のタイプの違うタイムラプスビデオを導入しており、
状況によって使い分けています。受精卵の発育を観察するだけでなく、
受精確認にもタイムラプスビデオを活用することで、より精度の高い体外受精を目指しています。
タイムラプスビデオで撮影したサンプルの動画は、セミナーの時にご覧頂けます。
また、待合のモニターにもでることがあるので興味のある方はぜひご覧ください。

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