梅毒
みなさん、こんにちは。技師の木村です。
今回は「梅毒」についてお話ししたいと思います。
梅毒というと、昔の病気というイメージではないでしょうか。
ところが、実はここ数年新たな流行の広がりが危ぶまれています。
東京都感染症情報センターによると、患者報告数は2011年から増加に転じており、
感染症法に基づく調査が始まって以来、最も多くなっています。
性別では2014年以降、女性の割合が増加しています。
グラフ内の数字は東京都の患者報告数です。
(2016年2月15日現在)
梅毒の病原菌は主に粘膜にいるので、いわゆるセックスだけでなく、
口腔粘膜に病原体が存在し、粘膜に傷などがある場合キスでも感染します。
怖いのは、自覚症状のないまま相手に移してしまう可能性があることです。
梅毒は感染から約3週間は症状が出ません(潜伏期)。
その後、皮膚や粘膜(外性器や口の中、唇など)に発疹が出ますが、
痛みはないし、数も少ないことが多く、しかも治療をしなくても2~3週間で
消えてしまいます。相手が梅毒と気づかないまま、移されることもあるわけです。
妊娠中に母親が感染していた場合、血液中の病原体は胎盤を通過して、
高率におなかの赤ちゃんに感染します。
妊娠初期に感染した場合は、胎児梅毒と呼ばれ、死産になるケースが多いです。
妊娠後期に入って感染した場合は、出生までは何の症状もなく、
出生後、乳児期や幼児期に第2期梅毒の症状(アザ・ブツブツなど)が現われます。
近代では梅毒は治療できない病気ではありません。
早期発見、早期治療がご家族と赤ちゃんを守ることにつながります。
当院でも梅毒の検査を受けていただく機会があるかと思います。
ご家族やこれから生まれてくる赤ちゃんを守る大切な検査ですので、
心配なことがあったら遠慮なくご相談ください。