~酸化ストレスと不妊~運動のすすめ
お久しぶりです!
最近うだるような暑さで、クリニックに通勤するだけで汗だくの田里です。
さて、今回は酸化ストレスと不妊というテーマで記事を書いていこうと思います。
酸化ストレスという言葉に聞き覚えはありますか?酸化ストレスとは、「活性酸素と抗酸化システム、抗酸化酵素とのバランス」と定義されています。いきなりいわれても、なんのことかわかりづらいですよね。
「活性酸素」という言葉は聞いたことがある方も多いと思います。身体の中で代謝により生じる物質で、体内で必ず産生される物質です。この活性酸素が出過ぎてしまう(酸化ストレスが高い状態になる)と、体内の酸化反応と還元反応(抗酸化力)のバランスが崩れて、酸化反応が亢進され様々なダメージを細胞に与えます。たとえば、卵巣内に生じた過剰な活性酸素は、卵子にダメージを与え、受精・発生障害を引き起こすといわれ、精子では、運動率の低下やDNAの損傷を引き起こすことで、不妊の要因となる可能性があるといわれています。
また、酸化ストレスが高い状態は、老化現象の亢進や糖尿病、高血圧、動脈硬化などの生活習慣病の発症と関係があると言われています。実際に、当院でも酸化ストレスと抗酸化力の検査を行い、不妊治療のために、酸化ストレスと抗酸化力のバランスを整えるように指導しています。
活性酸素が増える要因は、紫外線、放射線、喫煙、公害物質(二酸化窒素やダイオキシンなど)、食品添加物、残留農薬、病原菌、ストレス、過激な運動が挙げられます。しかし、これらの因子は生活改善により大幅に減らすことができると思います。
自分の抗酸化力を高めるには、体内に備わっている抗酸化作用のある酵素を活性化させるのが効果的です。活性酸素から身を守ってくれる酵素は、SOD(スーパーオキシドディムスターゼ)やグルタチオンペルオキシダーゼ、カタラーゼなどです。
SOD(スーパーオキシドディムスターゼ):細胞のミトコンドリアの中に存在し、活性酸素による酸化ストレスから体を守ってくれます。活性酸素を多く生むがん細胞を抑制するため、抗がん剤としても使われています。
グルタチオンペルオキシダーゼ:体内で抗酸化作用を持つ酵素として有名です。体内でセレンという物質から作られます。セレンを多く含む食品として、魚介類や、動物の内臓、ニンニクなどが挙げられます。これらの食材を日々の食事に取り入れるのをおすすめします。
カタラーゼ:過酸化水素を酸素と水に分解する酵素です。体内で発生した活性酸素を様々な酵素で分解すると過酸化水素と水ができます。この過酸化水素をそのまま放っておくと、イオンと結合し、強力な活性酸素となってしまいます。カタラーゼの働きで、過酸化水素を分解し、活性酸素となることを防ぐことができるのです。
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これらの還元作用のある酵素を活性化させるには、適度な有酸素運動が効果的です。運動時に産生される少量の活性酸素の刺激により、これらの酵素活性を高めることができ、その効果は数日間持続するといわれています。結果として自身の抗酸化力が高めることができるのです。
(※過度な運動は逆に酸化ストレスが上昇する原因となるので注意してください。)
運動だけでなく、食品やサプリメントから抗酸化物質を補うのも効果的といわれています。抗酸化物質が多く含まれる食品として、トマトやサケ、赤ワインやカシス、ブルーベリーなどが挙げられます。
しかし、どれも体に良いからといって一つの食品を食べ過ぎたりすると体によくありません。バランスの良い食事で補ってください^^
先日、埼玉県の熊谷市で観測史上最高気温を記録し、今年の暑さは尋常でないようです。
お身体に気を付けてお過ごしください。