New!子宮環境の検査
こんにちは。
培養室の大日方です。
今回は子宮環境を調べる検査のご紹介です。
当院では今年の3月頃から
ERA検査:子宮内膜着床能検査
を実施してきました。
医師から提案を受けた患者さんもいらっしゃるかと思います。
子宮内膜には受精卵を着床させることができる期間が決まっています。
これをimplantation window インプランテーション ウィンドウと呼びます。
“着床の窓”です。
この窓が開いているのは約12時間のみと言われています。
さらに開いている時期には個人差があります。
個々のimplantation windowに合わせて胚移植を実施しなければ
いくら良好胚を移植してもなかなか妊娠に結びつきません。
ERA検査は子宮内膜の妊娠に適した期間を調べる検査です。
そして子宮の環境を知るための検査として
新たにEMMA検査とALICE検査を導入することとなりました。
近年、腸内細菌叢(腸内フローラ)という言葉をよく目にします。
腸内に存在する細菌群のことです。
腸のなかには善玉菌と悪玉菌の両方がいて、
善玉菌が優位なバランスを保つことで腸の健康を維持できています。
最近は子宮環境でも同じことが言えるのではないかと注目されています。
それを調べるのが
EMMA検査:子宮内マイクロバイオーム検査です。
子宮内細菌の構成を調べることで
子宮内
膜が妊娠に適した環境なのかを判断します。
その結果、必要な場合は善玉菌を補ったり悪玉菌を減らしたりと
菌のバランスを調整していきます。
ALICE検査:感染性慢性子宮内膜炎検査
ALICE検査ではEMMA検査で調べた子宮内細菌叢のなかから
子宮内膜炎の原因となる菌の種類や割合を検出します。
従来の子宮内膜炎を調べる検査よりも細菌を検出する感度が高く、
子宮内膜炎を発症している、または発症する可能性がある場合は、
検出された菌の種類に合わせた抗生剤で適切な治療を行うことができます。
慢性子宮内膜炎は不妊症の患者さんの約3-30%、
習慣性流産や着床不全の患者さんの約60%が罹患している
という報告もありますが、ほとんどの場合は自覚症状がありません。
通常の検査では原因不明不妊と診断された方の
隠れた不妊原因となっている可能性があり、
近年、生殖補助医療の分野でも注目されています。
子宮内膜の環境については不明な点が多く、
体外受精の治療においてもほぼ手探りの部分でもありました。
子宮の環境を知ることは今後体外受精の治療の成功に大きく寄与することは間違いありません!
新たに加わったEMMA・ALICE検査は
ERA検査の時に採取した子宮内膜で一緒に実施することができます。
子宮内膜の採取は、月経痛程度の多少の痛みを伴いますが
麻酔は使わず、採取後体調に変化がない場合はすぐに帰宅できる処置となります。
興味のある方は診察室にて遠慮なく医師にお尋ねください。
子宮環境の検査について詳しい難しいお話は
のちに院長のブログで紹介されると思いますのでお楽しみに♪
これからさらに寒い季節に向かいますが、
風邪などひかないよう暖かく過ごしてくださいね。
ではまた。