幸町IVFクリニック

看護師・助手

採血項目について

2025.10.21

こんにちは!街で金木犀の香りがしました。日中はまだ暑さを感じることもありますが、朝晩冷え込むのでお身体に気を付けてお過ごしください。

今回は当院で行っている採血の一部についてお話させていただきます。

 

〇E₂・・・主に卵巣から分泌される卵胞ホルモン

不妊治療にとって、とても重要な役割を担うエストロゲンの一種です。

卵胞の発育や子宮内膜の増殖に深く関わっています。卵胞の発育とともに数値は上がって排卵直前に最も多くなり、排卵後には急速に減少します。

月経2~3日目の数値が高い場合には前周期の遺残卵胞がある可能性があります。

卵巣刺激中には卵胞発育の指標となります。

また妊娠中には子宮内膜を厚く保ち妊娠を維持する働きもあります。妊娠週数が進むにつれて数値は高くなります。

 

〇P₄・・・主に卵巣で作られる黄体ホルモン

着床や妊娠維持に不可欠なホルモンです。排卵後に子宮内膜を整え、受精卵が着床しやすい環境を作り、着床後も妊娠を継続させる働きがあります。

推定排卵日の1~2日前に卵胞が17㎜以上あり、かつP₄が1.0ng/ml以下、E₂が200pg/mL以上であれば卵子の成熟と排卵が近いと判断されます。

 

〇LH・・・脳下垂体から分泌される黄体形成ホルモン

卵胞が十分に成熟するとLHが大量に分泌されるLHサージが起こり、その約24~36時間後に排卵が促されます。また排卵後に残った卵胞を黄体に変える働きがあります。この黄体から分泌される黄体ホルモン(プロゲステロン)は子宮内膜を厚く柔らかくして受精卵が着床しやすい状態になります。

 

〇FSH・・・脳下垂体から分泌される卵胞刺激ホルモン

卵巣の卵胞発育を促すホルモンです。FSHが高値の場合(15~20mIU/ml以上)は卵巣機能の低下が考えられます。卵巣機能が低下すると、卵胞の反応が遅くなり卵胞の発育がうまくいかないことがあります。

 

〇PRL・・・脳下垂体から分泌される乳汁分泌ホルモン

分娩後、乳児の母乳吸引刺激によってプロラクチンの分泌量が増加し乳汁産生を増加させます。また卵巣機能を抑制することで出産後の一定期間、月経が来ない状況を作ります。

出産後や授乳中でないにも関わらず高値の場合は、排卵障害や黄体機能不全を引き起こし不妊の原因となります。低値でも卵子の質や受精率の低下を引き起こすことがあります。

 

〇TSH・・・脳下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン

高値の場合(甲状腺機能低下症、潜在性甲状腺機能低下症)は、月経異常や排卵障害を起こす可能性があります。ストレスなどによってTSHの分泌が一時的に影響を受けることがあるため、定期的な測定を行っています。

 

保険診療は月に実施できるホルモン検査の回数に制限があるため、その中で採血を行っていきます。

監修医師紹介

院長 雀部 豊

幸町IVFクリニック 院長 雀部 豊

医学博士、産婦人科専門医、生殖医療専門医、臨床遺伝専門医
1989年東邦大学医学部卒業、1993年同大学院修了。
大学院時代は、生殖医学専門の教授に師事し、胚の着床前診断(現在の着床前遺伝学的検査PGT)の研究を行う。以降、生殖医学を専門に診療・研究を従事。2011年、東京都府中市に幸町IVFクリニックを開設、同クリニック院長。一般不妊治療から生殖補助医療、着床前遺伝学的検査(PGT-A/SR)まで幅広く診療を行っている。

※本記事の医師監修に関して、学術部分のみの監修となり、医師が具体的な施術や商品等を推奨しているものではございません。

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