EMMA(子宮内膜マイクロバイオーム)検査とALICE(感染性慢性子宮内膜炎)検査
こんにちは、検査技師の佐藤です。
今回は当院でもおこなっている子宮内膜環境の検査について簡単にご案内いたします。
妊娠には質の良い受精卵と着床に適した子宮内膜環境が必要です。
子宮内にラクトバチルス(乳酸桿菌)が豊富に存在すると妊娠率が高くなり、慢性子宮内膜炎を引き起こす病原性細菌が存在すると、着床障害につながる可能性があると考えられています。
この子宮内膜環境を調べる検査が、EMMA検査とALICE検査です。
EMMA検査は子宮内の細菌叢を調べる検査です。妊娠に悪影響を及ぼす病原性細菌の存在の有無と量、またそれを抑制するラクトバチルスが十分に存在しているかを調べます。子宮内の細菌叢バランスを詳しく解析し、胚移植に最適な子宮内膜細菌叢であるかどうかを知ることが出来ます。
ALICE検査は慢性子宮内膜炎に関連する病原性細菌の存在の有無と量を調べる検査です。慢性子宮内膜炎では細菌が子宮内膜の奥深くまで入り、月経では剥がれないため自然には治りません。細菌を特定し適した治療を可能にします。
不妊の約20%が子宮内膜の問題が原因とされており、慢性子宮内膜炎病原菌の罹患率は不妊女性の約30%、反復着床不全・反復流産の患者では約65%に上るといわれています。
これらの検査をすることで、子宮内膜の微生物環境が胚移植に最適な環境か判定し、治療が必要な場合はプロバイオティクスや抗生物質で環境を整え着床・妊娠率の向上を図ります。
当院では保険診療の患者さまでも先進医療として検査することが可能となります。当院で検査をおこなう場合は、月経の2~5日目に一度来院していただき、検査の計画を立て日程を決め、子宮内膜が厚くなる高温期、おおよそ月経15~25日頃に子宮内膜の一部を採取して検査をします。
検査をご希望の患者さまはご相談ください。
それでは、年末に向けて慌ただしい時期ですが、しっかり体調管理をして元気に過ごしてまいりましょう(#^^#)/~~~
監修医師紹介
幸町IVFクリニック 院長 雀部 豊
医学博士、産婦人科専門医、生殖医療専門医、臨床遺伝専門医
1989年東邦大学医学部卒業、1993年同大学院修了。
大学院時代は、生殖医学専門の教授に師事し、胚の着床前診断(現在の着床前遺伝学的検査PGT)の研究を行う。以降、生殖医学を専門に診療・研究を従事。2011年、東京都府中市に幸町IVFクリニックを開設、同クリニック院長。一般不妊治療から生殖補助医療、着床前遺伝学的検査(PGT-A/SR)まで幅広く診療を行っている。
※本記事の医師監修に関して、学術部分のみの監修となり、医師が具体的な施術や商品等を推奨しているものではございません。
