胚の着床を助けます!
高度生殖医療である体外受精では、
採卵という処置によって卵子を取り出し、
体外で卵子と精子を受精させ、
正常な受精・発育を確認したのち
受精卵:胚を子宮に戻す、胚移植を行います。
移植した胚が子宮に着床できれば
“妊娠”となりますが、
着床がうまくいかず、妊娠が不成立となることもあります。
着床を助ける対策として用いられるのが
以下の方法です。
○高濃度ヒアルロン酸含有培養液
ヒアルロン酸
・・美容関連でよく耳にすることばですが・・
ヒアルロン酸は、体の中に自然に存在するムコ多糖類の一種で、
皮膚や関節、眼球などに多く存在しています。
水分保持能に優れていて、高い粘着性があることから
組織を結合・保護する機能があり、
保湿剤・関節機能改善剤や点眼剤として
医薬品に広く用いられています。
女性の体内では、卵胞や子宮内膜にも存在していて
胚の着床に関わっているといわれ、
近年、
ヒアルロン酸の受容体CD44が胚および子宮内膜に発現して
細胞間の接着を高めることで胚盤胞の着床を手助けする
という報告がされました。
このことから
体外受精の治療の際に、
高濃度にヒアルロン酸を含む培養液を
胚移植で使用すると
ヒアルロン酸が胚と子宮内膜を
くっつける“のり”のような役割をするので
胚の着床を助けて妊娠率の増加、
および流産率の低下が期待できるとして
多くの施設で使用されるようになりました。
ひとことで“高濃度”といっても
使用する培養液によって濃度はさまざまだそうです。
当院では、胚移植の際に
高濃度ヒアルロン酸含有培養液:EG(エンブリオグルー)
を使用しています。
○AH:アシステッドハッチング
受精卵は“透明帯”という殻のようなものに覆われています。
胚盤胞に発育すると、胚は風船のように
膨らんで透明帯に裂けめを作り、
もっと膨らむことで透明帯から完全に脱出します。(孵化:ふか)
孵化は胚が子宮に着床するためには、必須の行程です。
体外受精での長期培養や、凍結・融解操作によって
透明帯が硬化することがあるといわれています。
アシステッドハッチングは人工的に透明帯に穴を開けることで
胚が孵化することを手助けする処置です。
方法は施設によりさまざまですが、
当院ではレーザーを用いて行っています。
※詳しくは、当院培養室ブログ
2023.3.21“アシステッドハッチング”をご参照ください。
これらふたつの処置は
適応のある方に実施可能となっています。
詳しくは医師または看護師にお尋ねください。
これからいよいよ花粉の季節・・
寒い日も続きますが
体調管理、気を付けましょう!
培養室・大日方でした。
監修医師紹介
幸町IVFクリニック 院長 雀部 豊
医学博士、産婦人科専門医、生殖医療専門医、臨床遺伝専門医
1989年東邦大学医学部卒業、1993年同大学院修了。
大学院時代は、生殖医学専門の教授に師事し、胚の着床前診断(現在の着床前遺伝学的検査PGT)の研究を行う。以降、生殖医学を専門に診療・研究を従事。2011年、東京都府中市に幸町IVFクリニックを開設、同クリニック院長。一般不妊治療から生殖補助医療、着床前遺伝学的検査(PGT-A/SR)まで幅広く診療を行っている。
※本記事の医師監修に関して、学術部分のみの監修となり、医師が具体的な施術や商品等を推奨しているものではございません。
