涼しくなってもこまめに水分補給を!
10月に入ったのに、蒸し蒸した湿度や暑さにうんざりしていましたが、ようやく秋らしくなってきた今日この頃。
空気がカラッと乾いて澄んだ気持ちいい秋晴れの日には、うんと洗濯物を干して、そして外の空気をたくさん吸いにおしゃれして出かけたい!!…と思っているのに、なかなか自分の休みと秋晴れが重なりません(涙)
さて今回は、夏のとある日におもしろい発見があったので、ブログにのせることにしました。
おもしろいといっても、笑えるものではなく、私としてはなかなか興味深いと思えたので、写真に残してみました。
それが、こちら。
A
B
AもBも同じ日の私の同じ手の甲です。
すごいですよね、この血管の違い。
水分摂取しましょう!なんてのは夏場よく見聞きしますけど、実際それがどう役に立つのかはピンとこない方もいるかもしれませんが、この違いを見ればなるほどと思えるのでは?
これはクーラーの効いた室内で
Aは朝起きてからろくに水分もとらずゴロゴロしていたとき
Bはしっかり水分をとって活動したあと
になります。
脱水状態になると人間の血管はこんなにも細くキュッと縮んでしまうんですね。
自分の血管を見ながら、あーこの血管じゃ今倒れて運ばれても採血も点滴も至難の業だなぁ〜なんて、、
写真とってる場合ではないのですが。
こんなふうに水分摂取不足や大量の発汗などで、体の水分が不足すると、血液中の水分が減って濃縮してしまい、血液の粘度が高まって、血液の流れが悪くなります。
そして血液が濃縮すると、血栓の元となる血中のフィブリノゲンの濃度が上昇して血栓(血のかたまり)ができやすくなり、いわゆる「ドロドロの血液」になってしまうのです。
たしかに、Aの血管では流れるものも流れないどころか、ドロドロの血液では詰まってしまいそうですよね。
今回お伝えしたいのは、治療開始前にも必ず皆様にお伝えしている「静脈血栓症予防」です。
そのなかでも、とくに足の静脈に血栓ができて血液の流れを止めてしまうのが「深部静脈血栓症」で、できた血栓が血流にのって肺に移動し、肺の動脈を詰まらせてしまうのが「肺塞栓症」です。
「深部静脈血栓症」と「肺塞栓症」は連続した病気なので合わせて「静脈血栓塞栓症」と呼ばれ、これは命に関わります。
深部静脈血栓症の場合、完全に血管が詰まると足のむくみ、痛み、皮膚の変色などの症状が出やすいですが、血栓が小さい場合や、血管の中で浮いているような血栓の場合は自覚症状がありません。こわいですよね。
そんなわけで、”予防しよう”という意識が大切になってきます。
静脈血栓が生じる要素は3つあり、
①血液の流れが遅くなること
②血液が固まりやすくなること
③血管の内壁が傷つくこと(外傷や手術など)
これらの3つの要素のうち複数が重なった時に生じやすくなります。
つまり、脱水状態というのはまさにこの要素のなかにも入ってきますし、他にも以下のようなものがあります。
⬜︎長時間の移動や座りっぱなし:長時間飛行機に乗るなど、長時間同じ姿勢でいると血流が悪くなり、血栓ができやすくなります。
⬜︎運動不足や肥満:体を動かさない生活や肥満も血流を悪くし、血栓ができやすくなります。
⬜︎加齢:年齢が上がると血栓のリスクが高まります。
⬜︎妊娠:妊娠中は血液が固まりやすくなり、特に出産後の数週間は血栓のリスクが高まります。
⬜︎喫煙:喫煙・受動喫煙は血管を収縮させ、血液が固まりやすくなります。
⬜︎ホルモン療法:ホルモン補充療法や経口避妊薬の使用は血栓のリスクを高めることがあります。
たとえば、周期中でホルモン補充している方。
夏場は喉が渇くから水分とるけど、寒くなるとあんまり水分とらないなぁなんてことはありませんか?
ご主人は喫煙していませんか?
※外で喫煙していても、しばらくは吐く息や髪の毛、衣類にたばこの成分が残ります
お仕事が忙しくて長時間同じ姿勢でパソコンとにらめっこしている…なんてことはありませんか?
からだのめぐりを良くするため、リフレッシュのため、ホットヨガやサウナなどでたっくさんの汗をかいていませんか?
もしかしたら普段の生活で当たり前になっていることが静脈血栓に結びつく原因となっているかもしれません。
ただそれは、自分自身のちょっとした意識の変化で良くなることもあります。
とにかくまずは喉が渇いていなくても、意識して水分をこまめに摂るようにしましょう。
ただし、飲酒やカフェインの入ったコーヒーや紅茶をのみすぎると尿量を増やす作用のために、飲んだ量以上の尿がでることがあるので注意が必要です。
そして適度な歩行や足の運動。足首をまわしたり、足の指を動かすだけでも違いますよ。
とはいえ、せっかく季節も変わって過ごしやすくなってきたので、ご夫婦でお散歩デートなどもいかがですか(^^)v
これからの時期、紅葉を見に行くのもいいですよね〜
ただし秋は気温の変動も大きく、寒暖差や乾燥による体調不良を起こしやすかったり、免疫力も低下しやすい季節…つまり感染症にもかかりやすくなる時期でもあります。
十分な休息と栄養もしっかりとって、手洗い・マスク着用などの基本的な感染対策も忘れないようにしましょう!
監修医師紹介

幸町IVFクリニック 院長 雀部 豊
医学博士、産婦人科専門医、生殖医療専門医、臨床遺伝専門医
1989年東邦大学医学部卒業、1993年同大学院修了。
大学院時代は、生殖医学専門の教授に師事し、胚の着床前診断(現在の着床前遺伝学的検査PGT)の研究を行う。以降、生殖医学を専門に診療・研究を従事。2011年、東京都府中市に幸町IVFクリニックを開設、同クリニック院長。一般不妊治療から生殖補助医療、着床前遺伝学的検査(PGT-A/SR)まで幅広く診療を行っている。
※本記事の医師監修に関して、学術部分のみの監修となり、医師が具体的な施術や商品等を推奨しているものではございません。