卵子が育つまで のはなし。
こんにちは。
真夏の暑さもひと段落?
夏バテもようやく落ち着いてきました、
培養室の大日方です。
今回は少し難しい話題にチャレンジしてみました。
卵子が育つまで のおはなしです。
卵子の形成は
まだ女性が母親のお腹にいるとき:胎生の頃から
始まっています。
胎生4週頃、卵子のもととなる細胞を作るべく
細胞の分化が始まり、
胎生20週頃に、卵子の数は約700万個にもなります。
この時期が人生で最多です。
その後出生までに約70%も減少して約200万個となり
出生後、7歳では50万個、
思春期には20-30万個と減少していきます。
出生前までに卵子の形成は終了し
出生後、新たに卵子が作られることはありません。
初経から閉経までの期間に排卵されるのは400-500個ほどですから
胎児期に作られた卵子のほとんどは消失することになります。
この卵子の消失は閉鎖と呼ばれ、
“遺伝的に決められた細胞の死”
なのですが、
なぜたくさん作られた卵子の大半が使われず、消失してしまうのか
その理由についてはまだ分かっていません。
卵子のおおもと:最初の細胞は、
始原生殖細胞
という細胞です。この段階では精子にもなれる細胞です。
その後、卵祖細胞(卵原細胞)となり
卵祖細胞が発育を進めると、卵母細胞になります。
卵母細胞はのちに卵子になる細胞:卵子のもとです。
卵母細胞は、細胞分裂のある決まった時期で分裂を停止しています。
卵母細胞は卵胞を作る細胞を伴って、原始卵胞を形成して
卵巣の中で活性化されるのを待ちます。
思春期になり月経が始まると、卵母細胞が入った原始卵胞は
1周期あたり数百から1000個が活性化され、発育を開始します。
(この時点でも卵子の細胞分裂は停止しています)
現在のところ、どのように活性化される原始卵胞が選択されているか
についてはナゾです。
1周期に原始卵胞が1000個活性化されたとしても
実際に排卵まで至るのは通常1個ですから
かなりの激戦 といえますよね。
しかも、女性が一生のうちにもうける子供の数は
平均1-2人と考えると
選ばれし卵子!と言わざるを得ません。
さて
原始卵胞は
↓
一次卵胞、
↓
前胞状卵胞
と発育していきます。
さらに進めて、胞状卵胞まで発育すると
脳からのホルモン:FSH卵胞刺激ホルモンの作用によって
卵胞は急成長していき
次は排卵を促すホルモン:LH黄体化ホルモンが放出されます。
ここで、ついに!
それまで休眠状態にあった卵子の細胞分裂が再開します。
長かったですね…。
これにより卵子は受精ができる段階まで到達します。
みなさんが生まれる前に止まった卵子の細胞分裂は、
再開するまでずっっとスタンバイ状態です。
その期間が
20歳の方では20年、
40歳の方なら40年と
人によって様々、数十年もの月日になります。
この長期間の分裂の停止が、
女性年齢の高齢化に伴う染色体異常に関連していると言われています。
原始卵胞が排卵前の卵胞になるまで6ヶ月以上、
前胞状卵胞が2〜5mmの胞状卵胞になるまで約3周期
とされています。
かなり長い期間が必要ですね。
そう考えると日頃の体調管理や体質改善が
結構重要なんじゃない?
とか思えてきますよね。
体外受精の周期でも卵子の育ち方はおなじです。
基本的な卵子の質はみなさんの卵巣にかかっています!
毎日の運動や食事に気をつけることはとても大切です。
当院ではそのサポートとして
体質改善が必要な方にはサプリ(当院オリジナル!)
の服用をおすすめしています。
サプリも継続がチカラなりです。
暑さもまだ残っています。
体調を崩さないように気をつけてくださいね。
ではまた。
監修医師紹介

幸町IVFクリニック 院長 雀部 豊
医学博士、産婦人科専門医、生殖医療専門医、臨床遺伝専門医
1989年東邦大学医学部卒業、1993年同大学院修了。
大学院時代は、生殖医学専門の教授に師事し、胚の着床前診断(現在の着床前遺伝学的検査PGT)の研究を行う。以降、生殖医学を専門に診療・研究を従事。2011年、東京都府中市に幸町IVFクリニックを開設、同クリニック院長。一般不妊治療から生殖補助医療、着床前遺伝学的検査(PGT-A/SR)まで幅広く診療を行っている。
※本記事の医師監修に関して、学術部分のみの監修となり、医師が具体的な施術や商品等を推奨しているものではございません。