幸町IVFクリニック

院長

PGT-Aの安全性

2023.07.06

幸町IVFクリニック院長の雀部です。

医学は絶えず発展しています。生殖医学の分野でも新しい知見が続々と発表され、疾患や治療に対する考え方は常に変化しています。このブログでは、妊娠を希望されているご夫婦向けに、新しく発表された知見のポイントをQ&A形式で簡潔に紹介していきます。

今回はPGT-Aの安全性の話です。 ※PGT-Aって何?という方はこちら

Q PGT-Aは、妊娠・分娩の経過や新生児に悪い影響を及ぼすか?

A 悪い影響はないという報告があります。

 

根拠となる論文は、

Cozzolino, M., et al. (2023). “Preimplantation genetic testing for aneuploidy is not related to adverse obstetric and neonatal outcomes in singleton pregnancies.” Hum Reprod.

 

論文のエビデンスレベルは、

多施設後ろ向きコホート研究です。後ろ向きとは言っても、過去起点でコホートを設定しているので、前向きコホート研究に準じたエビデンスレベルがあり、比較的高いと考えられます。

 

妊娠・分娩の経過や新生児に及ぼす悪い影響の具体的な内容は、

評価項目を見てみます。

主要評価項目:子癇前症、

副次評価項目:妊娠糖尿病、低出生体重児、超低出生体重児、帝王切開、緊急帝王切開、早産、出生時体重、先天奇形、性別、アプガースコア、新生児ICU入院

一般に主要評価項目に関する解析は信頼性が高く、副次評価項目に関する解析は参考程度の信頼性です。従って、「PGT-Aは子癇前症の発症に関して影響はない」という結論は信頼できますが、他項目に関しては参考程度の信頼性です。

 

監修医師紹介

院長 雀部 豊

幸町IVFクリニック 院長 雀部 豊

医学博士、産婦人科専門医、生殖医療専門医、臨床遺伝専門医
1989年東邦大学医学部卒業、1993年同大学院修了。
大学院時代は、生殖医学専門の教授に師事し、胚の着床前診断(現在の着床前遺伝学的検査PGT)の研究を行う。以降、生殖医学を専門に診療・研究を従事。2011年、東京都府中市に幸町IVFクリニックを開設、同クリニック院長。一般不妊治療から生殖補助医療、着床前遺伝学的検査(PGT-A/SR)まで幅広く診療を行っている。

※本記事の医師監修に関して、学術部分のみの監修となり、医師が具体的な施術や商品等を推奨しているものではございません。

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