顕微授精ICSIの安全性
幸町IVFクリニック院長の雀部です。
医学は絶えず発展しています。生殖医学の分野でも新しい知見が続々と発表され、疾患や治療に対する考え方は常に変化しています。このブログでは、妊娠を希望されているご夫婦向けに、新しく発表された知見のポイントをQ&A形式で簡潔に紹介していきます。
今回は顕微授精ICSIの安全性の話です。
診察の際に、顕微授精ICSIの安全性に懸念を示されるご夫婦がいらっしゃします。生殖細胞に操作を加える技術ですので、当然の心配だと思います。その安全性について研究した論文を紹介します。
Q 顕微授精ICSIにより、胎児や生産児に先天奇形が増える?
A IVF児とICSI児を比較したところ、妊娠結果や先天奇形に関して差はなかった。
根拠となる論文は、
論文のエビデンスレベルは、
後方視研究ですが、サンプルサイズが十分大きいため、データの信頼性は高いと思います。
監修医師紹介

幸町IVFクリニック 院長 雀部 豊
医学博士、産婦人科専門医、生殖医療専門医、臨床遺伝専門医
1989年東邦大学医学部卒業、1993年同大学院修了。
大学院時代は、生殖医学専門の教授に師事し、胚の着床前診断(現在の着床前遺伝学的検査PGT)の研究を行う。以降、生殖医学を専門に診療・研究を従事。2011年、東京都府中市に幸町IVFクリニックを開設、同クリニック院長。一般不妊治療から生殖補助医療、着床前遺伝学的検査(PGT-A/SR)まで幅広く診療を行っている。
※本記事の医師監修に関して、学術部分のみの監修となり、医師が具体的な施術や商品等を推奨しているものではございません。