染色体正常胚3回移植の累積妊娠率は95%
2024.08.29
幸町IVFクリニック院長の雀部です。
医学は絶えず発展しています。生殖医学の分野でも新しい知見が続々と発表され、疾患や治療に対する考え方は常に変化しています。このブログでは、妊娠を希望されているご夫婦向けに、新しく発表された知見のポイントをQ&A形式で簡潔に紹介していきます。
今回は着床不全の話です。着床不全の原因は多岐に渡ります。その原因を特定するために、慢性子宮内膜炎検査、子宮内膜受容能検査、免疫関連の検査、ビタミンDの検査などたくさんの検査が開発され、実施されています。主に母体側の因子を診る検査です。ところが、検査によっては有効性の検証が不十分なまま見切り発車のような状態で、実施されているものもあります。これらの新しい検査を必要とする、「真の反復着床不全」の患者さんがどのぐらいの割合で存在するのか、今までわかっていませんでした。
Q 解剖学的に正常な子宮かつ子宮鏡などで子宮内腔に病変が見つからない患者さんに、染色体正常胚(PGT-Aにより正数性胚)を3回移植したときの累積妊娠率は?
A 累積妊娠率95.2%
つまり「真の反復着床不全」は、5%未満。着床不全のほとんどの原因が、胚の染色体異常ということが明らかになりました。反復着床不全の患者さんに、まずやるべき検査・治療はPGT-Aということになります。
根拠となる論文は、
論文のエビデンスレベルは、
後方視的研究ですが、サンプルサイズが十分に大きく、データの信頼性は高いと考えられます。