凍結胚の劣化リスク
2024.10.31
幸町IVFクリニック院長の雀部です。
医学は絶えず発展しています。生殖医学の分野でも新しい知見が続々と発表され、疾患や治療に対する考え方は常に変化しています。このブログでは、妊娠を希望されているご夫婦向けに、新しく発表された知見のポイントをQ&A形式で簡潔に紹介していきます。
今回は長期凍結保存胚の劣化リスクの話です。
Q 胚を長期にわたって凍結保存する場合、劣化のリスクはないのか?
A 5年以上の胚凍結保存は、着床率と生産率を低下させます。
根拠となる論文は・・・
論文のエビデンスレベルは・・・
後方視研究ですが、サンプルサイズが大きく、比較的信頼性できる論文だと思います。
胚の長期凍結保存の安全性については、正反対な結論を導き出している論文もあります(別の機会に紹介します)。十分なエビデンスが得られている状態ではなく、議論の途上にあります。現時点の対応としては、凍結胚は5年以内に使い切った方が安全だと思います。