凍結胚の劣化リスク②
2024.11.21
幸町IVFクリニック院長の雀部です。
医学は絶えず発展しています。生殖医学の分野でも新しい知見が続々と発表され、疾患や治療に対する考え方は常に変化しています。このブログでは、妊娠を希望されているご夫婦向けに、新しく発表された知見のポイントをQ&A形式で簡潔に紹介していきます。
今回は、再び凍結胚の劣化リスクの話です。
Q 胚の長期凍結保存による劣化リスクはないのか?
A 胚の凍結保存期間は臨床成績に影響を及ぼしません。
根拠となる論文は・・・
論文のエビデンスレベルは・・・
後方視研究ですが、サンプルサイズが十分大きく、比較的信頼性の高い論文だと思います。
前回のブログで紹介した論文と正反対の結論です。2つの論文は、両方とも今年発表された最新、かつ権威のあるジャーナルに掲載された論文です。「で、どっちが正しいの?」という話になりそうですが、現時点ではどちらも正しい可能性があります。つまり、主張が対立していて結論が出ていない状態です。そのような状況下で、治療を受ける患者さんの立場では、どのように考えればよいのか?これは、各々の考え方に依ります。私なら、どちらに転がってもいいように、自衛的に胚の凍結保存は5年以内に留めると思います。