子宮内膜は厚い方が妊娠しやすい?
2025.01.30
幸町IVFクリニック院長の雀部です。
医学は絶えず発展しています。生殖医学の分野でも新しい知見が続々と発表され、疾患や治療に対する考え方は常に変化しています。このブログでは、妊娠を希望されているご夫婦向けに、新しく発表された知見のポイントをQ&A形式で簡潔に紹介していきます。
今回は 胚移植周期における子宮内膜厚と生産率(せいざんりつ)の関係についてです。
Q 胚移植周期における子宮内膜は、厚い方が生産率が高い?
A 生産率は、子宮内膜厚9mmまでは厚い方が高くなり、9mm以上はプラトーになります。
根拠となる論文は・・・
論文のエビデンスレベルは・・・
胚移植244,001例を解析した大規模な研究です。後ろ向き研究ですが、データの信頼性はあると思います。
基本的に、子宮内膜は厚い方が有利です。ただし、厚すぎる場合は、子宮内膜増殖症など腫瘍性病変を疑わなければいけないことがあり注意が必要です。ただ厚ければいいという話ではありません。
今回紹介した論文は、内膜の厚みのみに注目した研究です。内膜厚以外にも、内膜のエコーパターンが重要とか、内膜のcompactionが重要など、いろいろなことが言われています。完璧な指標はないので、複数の指標で評価するのが、現実的だと思います。
執筆者 幸町IVFクリニック 院長 雀部豊
医学博士、産婦人科専門医、生殖医療専門医、臨床遺伝専門医