幸町IVFクリニック

院長

仕事と体外受精の両立

2017.10.19

幸町IVFクリニック 院長 雀部です。


診察室にてよく遭遇する患者さんの疑問や誤解第6弾です。今回は仕事と治療の両立がテーマです。

 

「フルタイムで仕事をしているのですが、それでも体外受精できますか」という質問が最近増えています。頻度的には間違いなく3指に入ると思います。仕事をしている女性が体外受精の治療を受ける場合、どのような問題が発生するのでしょうか?問題点を整理して解決の糸口を探ってみます。


どのような問題が生じるのか

通院のため仕事を頻繁に休まなくてはいけなくなり、仕事や職場の人間関係に支障をきたすことがあります。

 

採卵のタイミングに休みが取れなかったり、必要な日に通院できなかったりすると、それが原因で治療がうまくいかないことがあります。途中で治療がキャンセルになることもあります。

 

仕事と治療の両立が難しいと言うことで治療の先延ばしをすると、どんどん歳を重ねてしまい、さらに治療に時間がかかる年齢になってしまいます。

 

これらの問題をどう折り合いをつけていくかは非常に難しい問題です。

 

一般的な対応

まず思いつく一般的な対策は、次の3つではないでしょうか

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職場の上司に相談して通院に協力してもらう

最初に試みるべき対策はこれでしょう。最近は理解のある職場も増えてきているようです。

 

治療を先延ばしにする

治療の先延ばしは、妊娠率に影響してきます。治療する側としては、できるだけこの選択肢は避けてもらいたいものです。

 

仕事または妊娠、どちらかをあきらめる

最後の選択肢です。

 

C もう一工夫してみましょう

Bの2と3はできれば避けたい対応です。ではBの1が不発に終わった場合、もう手がないのでしょうか。もう一工夫できないでしょうか。


少し綱渡りですが、「体外受精の質が多少落ちることを覚悟の上で診察回数を減らす」という対策はどうでしょうか。

 

要するに、医師と相談して比較的重要度の低い診察を省略するという手です。ただし、診察を行わなかったために生じるデメリットについては許容してもらう必要があります。例えば、治療の経過が想定外の動きをしたときに、診察をしていれば対策が執れたのに、診察を省略したために途中で治療がキャンセルになる、などです。

 

この対策の主な目的は、治療を先延ばしにしないということです。100点満点の体外受精を目指すことができなくても、とりあえず80点の体外受精を目指して、先延ばししないで治療を受けてみようという考え方です。

 

これは、医師と患者さんの意思疎通が十分なされていないと、実現不可能な対策です。もちろん治療上の最重要ポイントを外すと治療そのものが成り立たなくなってしまいますので最低限の休みは確保する必要があります。それでは重要な診療から見ていきましょう。

 

最も重要なのが採卵日です。

当院では朝採卵をして11時前後に診察をして帰宅となります。ただし、その日の午後はご自宅で安静をとっていただきますので、ほ1日がかりの治療となります。1番困るのが、その日程が2、3日前にならないと決まらないということだと思います。しかし、採卵日は省略するわけにはいかないので、これはなんとか都合をつけて下さい。卵巣刺激開始時点で大体この辺かなというのはわかりますので担当医にご確認ください。

 

次に重要なのが採卵日を決めるための診察です

タイミングが良いと1回の診察で採卵日が決まることもありますが、通常23回診察が必要になってきます。この通院も比較的重要度が高い通院になってきます。


次に比較的重要度の低い診察を見てみましょう。

診察の重要度は患者さんごとに異なってきますので、よく検討する必要があります。例えば、月経周期が安定している方は、卵巣刺激開始日の診察を省略して、予め処方しておいた薬剤を月経2/3日目より自動的に開始するという手が使えることがあります。また、過去に卵巣刺激をやった経験があり、かつその経過が安定している方は、採卵日を決めるための診察の回数を減らすことができるかもしれません。


質の高い体外受精にこだわっていると仕事をしている女性は治療そのものができなくなってしまいます。最重要の診察はなんとかがんばって通院して、比較的重要な診察は医師と相談して調節するというスタンスの方が早く治療に取り掛かれる可能性があります。そのかわり通院を省略することによって生じるデメリットは 十分に理解しておく必要がありますし、そのデメリットが発生したときにそれを許容する心の余裕が必要です。


D まとめ

一般的な対応から一歩踏み込んで、医師と協力して診察を調節してみるという選択肢を提示しました。仕事を調節して、診察を調節して、それでも仕事と治療を両立できない場合は、残念ですがどちらかをあきらめるしかないと思います。


治療する側としては、なんとか避けてほしいのが治療の先延ばしです。治療を先延ばしして年を重ねてしまうことによって、気がついたら体外受精をやっても妊娠できない年齢になっていたというのが最悪の結末です。仕事と治療の両立について考えることは、将来の人生設計そのものです。前述のような結末にならないように、ご夫婦でよく相談してください。


当院は、働く女性のために土日も診療しております。ご夫婦だけで方向性を決められない場合は、どうぞお気軽にご相談ください。

 


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