幸町IVFクリニック

院長

睡眠妊活

2018.04.05

幸町IVFクリニック 院長 雀部です。

当院は体外受精の専門クリニックですが、妊娠しやすい身体作りにも力を入れています。体外受精の専門クリニックが、なぜ妊娠しやすい身体作りを指導するの?と違和感を覚える方いらっしゃいませんか? その違和感を覚える方は、体外受精という技術を過大にイメージしている可能性があります。

体外受精は生殖補助医療と言われている通り、生殖を補助する技術です。 対象となるご夫婦の実力以上の結果を引き出すことはできません。体外受精の治療を受ける方は、並行してご夫婦の妊娠力を上げていく必要があります。体外受精をやることになったからこそ、今まで以上に妊娠しやすい身体作りに励みましょう。

 学校の勉強に例えると、妊娠しやすい身体作りは基礎となる教科書、体外受精は参考書の応用問題に相当します。基礎となる教科書をおろそかにして、参考書の応用問題を解くためのノウハウばかり追い求めても成績は上がりませんよね。それと同じことです。

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 他力本願

妊娠しやすい身体作りというと、大体食事と運動の話が出ます。もう一つ大事なことを忘れていませんか? 睡眠です。

睡眠も大事です

さっそく論文を紹介します。
 

Wise, L. A., et al. (2018). “Male sleep duration and fecundability in a North American preconception cohort study.” Fertil Steril 109(3): 453-459.


2013~2017年にインターネットを利用して行われた前向きコホート研究です。北米に住む1,176カップルを観察対象とし、男性側の睡眠と妊娠の関係を調べています。その結果、睡眠時間が6時間未満の男性は妊娠力(つまりパートナーを妊娠させる能力)が低いことがわかりました。この傾向は、以前子供を持った経験のある男性において特に強く認められました。

どうでしょう? 妊活には、睡眠も重要そうですね。

これは男性側の論文なので、女性側の論文がないか探してみたら、ありました。

Kloss, J. D., et al. (2015). “Sleep, sleep disturbance, and fertility in women.” Sleep Med Rev 22: 78-87.

“Sleep Med Rev”は睡眠医学に関するジャーナルです(専門外なので、どの程度信頼できる医学誌なのか私には分かりません)。Reviewなので具体的なデータの提示はありませんが、睡眠トラブルの治療は妊娠力を高める可能性があるという内容が述べられています。

昔、睡眠学習というのがあったのご存知ですか? (古すぎて年がばれる?)
努力しなくても、寝てる間に勉強ができるようになるというやつです。私も盛んにやりましたが全く効果が上がりませんでした。でも、睡眠妊活は、本当に寝るだけで効果が上がりそうです。
睡眠のサプリ

メラトニンというサプリがあります。メラトニンは、睡眠のホルモンです。サプリで簡単に摂ることができて、副作用が無い睡眠薬として有名です。日本では市販されていませんが、アメリカでは薬局で簡単に入手できます。

メラトニンは、睡眠に関する作用以外に、卵巣における抗酸化作用があり、この作用を期待して不妊治療にも用いられます。当院でも使用しています。睡眠トラブルのある方は、使ってみたらどうでしょう。睡眠の質改善と、卵巣における抗酸化作用の両方を期待できるかもしれません。


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